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「Nobody grows old by merely living a number of years; people grow old only deserting their ideals」(サムエル・ウルマン「青春」)

名言再訪(12)いかに生きるべきかを問う

米国アラバマ州バーミンガムで金物商を営んでいたウルマンの八十歳の誕生日に、家族と知人が編集し、縁者に配った詩集の中の一編。それがどういう経路を辿ったかは不明だが日本に伝えられ、青春フィーバを起こしたのはちょうど高度成長期のころ。

ウルマンは詩の冒頭で青春とは「人生のある期間」(time of life)を言うのではなく「心の様相」(state of mind)を指すのだという。ではどんな心の様相が青春なのか。

それは、「臆病を退ける勇気、安きにつく気持ちを振り捨てる冒険心」(a predominance of courage over timidity, of the appetite for adventure over love of ease)だとする。そして「時には、20歳の青年よりも60歳の人に青春がある」とも。

そのロマンティシズムは多くの経営者やビジネスマンを魅了した。その一人松下幸之助氏はウルマンの詩を次のように改作して自ら揮毫した。

「青春とは心の若さである。信念と希望にあふれ勇気にみちて日に新たな活動をつづけるかぎり青春は永遠にその人のものである」

手元にその一枚があるが、かつて英国の松下電器の工場を訪れた時、それと同じ言葉が石碑に刻まれているのを目にした。

この詩は一見老年讃歌のようにも見えるが、それは違う。詩集に収められた他の詩を読むと分かる。詩集には49編の詩が収められているが、そこには金儲けや、争いごとに心を煩わせることなく、誠実に前向きに生きてこそいずれ訪れる死を「よい船旅」にすることができるとしている。若者には「気をつけて耕せば豊かな収穫をもたらすものが手の届く範囲にたくさんある」と奮起を促し、年老いた人には勇気と冒険心を失わないように呼びかけているのである。

(小山博之)

『経営倫理フォーラム』第29号掲載


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