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トップページ > 経営倫理情報 > ニュースダイナミクス > 2016年1月25日配信記事

廃棄食品が流通してた! 産廃処理業者が不正転売
  横流し常態化か…、食の安全や流通に大きな波紋

新しい年の経済が動き始めた1月13日、異物混入の疑いがあるとして廃棄されるべき冷凍ビーフカツが、産業廃棄物処理業者によって不正転売される食品不祥事が表面化した。愛知県に本社を置く日本では最大手のカレー専門店チェーンが廃棄を依頼、請け負った同県内の産廃業者が大半を処分せず、岐阜県の製麺業者に横流し転売していた。廃棄物処理法に基づく県や県警の立ち入り調査、家宅捜索が進むにつれ、転売はカツにとどまらず100品目を超え、販売、製造元が全国10都道府県と11の主要都市に及ぶことが分かった。食の安全のみならず、食品流通や廃棄、食品ロスなどとも絡み、あらためて事件の問題の深さを浮き彫りにした。

■ 廃棄処分代を取り、横流しして利益二重取り

自社製造のビーフカツが不正転売されたのを明らかにしたのは、カレーチェーン店「カレーハウスCoCo壱番屋」(愛知県一宮市、略称ココイチ)。国内外にフランチャイズを含め1400支店を展開、全店舗で899億円(2015年5月期)を売り上げるハウス食品の子会社だ。昨年9月に県内工場で製造した冷凍ビーフカツ約4万枚に樹脂製部品が混入した可能性があるとして、同県稲沢市の産業廃棄物処理業者「ダイコー」に廃棄処理を依頼した。

生ごみを含め食品資源はリサイクル業者(産廃処理業者も)が肥料や飼料にして再生、農家・畜産家などに戻すリサイクル・ループが食品リサイクル法でも規定、運用されている。愛知県などの調査によると、ダイコーはビーフカツ4万枚のうち7千枚を堆肥に処理したが、4万枚を全量堆肥化したと壱番屋に虚偽報告、残りを岐阜県羽島市の製麺業者「みのりフーズ」などの業者に売っていた。

処理委託料を受け取り、カツを廃棄するはずだったダイコーは、0円のカツをみのりフーズに1枚あたり約33円(今回は2万4千枚を30枚1千円、計80万円)で売り、さらに3社に転売した。買い取ったスーパーでは、それが1枚80円ほどになっていた。各卸業者は「廃棄物とは知らなかった」と話しているという。スーパーや弁当店など計34店の店頭で1万2千枚が売られ、1万5千枚が弁当に使われた。

みのりフーズによると、ダイコーから取引を持ちかけられ、同様「2014年ごろから2回、壱番屋の冷凍カツを取引した。廃棄物とは知らなかった」としたが、ビーフ以外にもチキンやメンチ、ロースカツ、さらには大手みそメーカー「マルコメ」のみそなどもダイコーから仕入れ、販売していた。ダイコーから帳簿を残さず箱を詰め替えるよう指示されたことを明らかにしており、“不正な横流し”を認識しての横流し、転売が常態化していたとみられている。みのりフーズがある岐阜県による立ち入り調査では、壱番屋製品以外の食品メーカーの108品目、マグロなど魚の切り身や焼き鳥、野菜の煮物、ケーキなど段ボール約200箱分の冷凍食品が見つかっており、その大半は賞味期限切れだったことも判明した。

■ 食品ロスの抑制・再生に“抜け穴”はなかったか

愛知、岐阜両県警は21日までに合同捜査本部を設置、廃棄物処理法違反や食品衛生法違反での立件を目指している。また、環境省と農林水産省も同日、食品リサイクル法に基づいてダイコーへの立ち入り検査を始めた。ダイコーは食品廃棄物を用いて肥料などを製造する「登録再生利用事業者」として国に登録しており、両省は今後、登録の取り消しも含め検討する。

食品リサイクル法の登録再生利用事業者は、再生事業が周辺の生活環境に支障がないことや、事業をするのに十分な経理的基礎があることなど、一定の要件を満たした事業者を国が登録するもの。法は食品廃棄物などの排出を抑え資源の有効活用(リサイクルなど)を目的に平成12年に制定、19年に改訂されている。

ダイコーは、廃棄物処理法で廃棄物処理の流れを確認でき、適正な処理を推進するために定められたマニフェスト(産業廃棄物管理票)伝票を今回の食品横流しについて発行していたのかなど問題は残る。

岐阜県などによると、みのりフーズからは他にも、セブン&アイ・ホールディングスやイオンなどの流通大手の廃棄商品が見つかり、これらも横流しされた可能性があるとみている。製造、販売元は全国に広がっており、壱番屋は2014年、15年の2年間だけでも、異物混入などの恐れがあったとする59万枚ものカツの廃棄をダイコーに委託しているだけに、全容をつかむには難航が予想される。警察庁の金高雅仁長官は21日の記者会見で「食品の安全に関わる悪質かつ重大な事件。流通ルートなどの全容解明に務める」と話した。

わが国では食文化が豊かな半面、食品の食べ残し、賞味(消費)期限切れなどで捨てられるもの(食品ロス)が多いとされる。その量は年間約2000万トンにも及ぶという統計もあり、食品関連業者から出る事業系が年間300〜400万トン、家庭から出る家庭系が200〜400万トンとされる。「食」の流通と廃棄に絡む“抜け穴”はなかったか、解明が待たれる。


2016年01月25日配信


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