根津美術館(東京・南青山)で、「燕子花と紅白梅 〜光琳デザインの秘密」展が開かれている。
今年は、日本美術史の最高峰とされる巨匠・尾形光琳の没後300年忌。同時に、徳川家康からの拝領で本阿弥光悦が、「光悦村」を、俵屋宗達らを集めて洛北につくってから400年目。同展は、この節目の年を記念して開かれた。光琳ワールドに浸り、その足跡を辿ることができる。
光琳の代表作、「燕子花図屏風」(根津美術館)と「紅白梅図屏風」(MOA美術館)の2大国宝が同時に見られるのは、今年2〜3月のMOA美術館に続いての開催。
光琳が私淑した宗達による作品と、光琳による挑戦的な同主題作品2点の「槇楓図屏風」、その他、下絵図案や光琳旧蔵の品々、影響を受けたとされる光悦謡本などで、光琳の素顔に迫る企画。特に燕子花の下絵図案などは、震える描線など細かい描写も見られ、興味深い。
光琳は、京都の高級呉服商の家に生まれた。光悦は、彼の縁戚にあたる。その生い立ちから、大和朝廷的な伝統の優美な作風も兼ね備えている。「燕子花図屏風」は、40歳代半ばの作とされ、画家としてのスタートの遅かった光琳にとり、最初の到達点といわれる。その主題は、「伊勢物語」第9段の東下り、燕子花の名所・八ッ橋によるものとされる。花弁の絵具の塗り重ね方も躍動感が溢れている。
一方、「紅白梅図屏風」は、左隻の白梅が古木を、右隻の紅梅が若木を表すという。こちらも、光琳梅と呼ばれる花の形の描写も有名だ。両作品に共通するのは、卓抜したリズミカルなデザイン性。しかし、造形は全く異なった手法で、光琳の才能が冴えわたっている。
弟・乾山の作陶に寄せた、洒脱な器の絵付けも見事だが、重要文化財の「扇面貼交手筥」(大和文華館)など雅さの漂う作品も。
昭和6年に大倉男爵を招いた「燕子花図屏風賞翫会」の取り合わせを再現した茶道具の展示も同時開催されている。
会期:5月17日まで。休館日:月曜日、ただし5月4日(月・祝)は開館。
入館料:一般1,200円(学生割引有り)
2015年04月29日 配信