トップページ > 経営倫理情報 > ニュースの動き、この“数字”に注目 > 2014年11月13日配信記事
内閣府は11月1日、「女性の活躍推進に関する世論調査」を発表した(同ウェブサイトへの掲載は4日)。同調査によると、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方に対し、「賛成」「どちらかといえば賛成」(以下、賛成意見)と答えた人が44.6%と、2012年10月に実施した前回調査に比べ7ポイント減少。逆に「反対」「どちらかといえば反対」(以下、反対意見)の割合は4.3ポイント増加の49.4%となり、賛成意見を上回ったことが分かった。反対意見が賛成意見を上回るのは、前々回調査の2007年以来。
2012年の前回調査で賛成意見が51.6%と過半数に達したのは、前年に起こった東日本大震災の影響が大きいと考えられる。ただ、前回調査を除けば、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方に対して反対意見を持つ人の割合は2002年の調査以降、5割前後にとどまっており、ほぼ横ばい。同時期、賛成意見も軒並み4割以上で、両意見は拮抗している=グラフ(A)。
賛成意見の理由(複数回答)を見てみると、「日本の伝統的な家族の在り方だと思うから」(19.5%)「自分の両親も役割分担をしていたから」(17.0%)という考え方も根強い。ただ、理由の大半を占めるのは「妻が家庭を守った方が,子どもの成長などにとって良いと思うから」(59.4%)という、比較的前向きな意見。また、「家事・育児・介護と両立しながら,妻が働き続けることは大変だと思うから」(37.3%)「夫が外で働いた方が,多くの収入を得られると思うから」(27.0%)という理由を挙げる人も多く、賛成意見が依然として4割を超えているのが、必ずしも「男性優位」の考えから来ているわけではないことがうかがえる。
また、賛成意見と回答した人の内訳を男女別に見ると、男性46.5%、女性43.2%と、やや男性の方が多いものの、決定的な差とまではいえない=グラフ(B)。さらに、10歳おきに区切った年齢別の同世代の男女間、配偶者を持つ男女間、独身の男女間、子どもを持つ男女間、子どもを持たない男女間で比較をしても、その差はおおむね3ポイント前後と、大きな差は見られない。60歳代の男女間(7.9ポイント差)と独身の男女間(6.1ポイント差)ではやや開きがあるが、全体に及ぼす影響は限定的といえる。
大きな違いが出るのは、配偶者を持つ女性と未婚の女性の間だ=グラフ(C)。未婚の女性の場合、賛成意見が32.3%、反対意見が64.6%と、「妻は家庭を守るべき」という考え方に否定的な意見を持つ人の割合が大半を占める。他方、配偶者を持つ女性の場合は、賛成意見が44.8%、反対意見が49.9%と、今回調査の全体的な結果と同程度。賛成意見は12.5ポイント差、反対意見は14.7ポイント差で、女性同士でも意見の隔たりがある。男性の場合も、配偶者を持つ人の方が8.9ポイント多く賛成意見と回答しており、男女間の比較に比べて明確な違いが見受けられる。
子どもの有無に目を転じると、女性の場合、子どもがいる人の方がいない人よりも賛成意見は3.7ポイント多く、反対意見は2.8ポイント少ないものの、配偶者の有無のケースに比べてその差は小さい。
いずれも、仮に全人口を対象とした場合の調査結果との間に生じる、統計上の誤差である標本誤差を考慮する必要があるものの、出産・育児以上に、結婚を転機として考え方が大きく変わる可能性が高い。
ただし、「一般的に女性が職業を持つこと」自体については、肯定的な意見が大半を占める。
「子どもができても、ずっと職業を続ける方がよい」(44.8%)という意見を筆頭に、2番目に多い「子どもができたら職業をやめ、大きくなったら再び職業をもつ方がよい」(31.5%)と合わせると8割近い。出産という大きな転換点を迎えても、女性の就労を後押しする声が強いことが分かる。1992年の調査と比べると、2つの意見の合計は66.1%から約1割増。「子どもが成長後、再び職業を」との意見に絞れば、23.4%だったものが20年ほどで約2倍に飛躍している。
いずれかの回答をした人に複数回答で理由を聞くと、「女性が能力を活用しないのはもったいないと思うから」(51.8%)が最多。「女性も経済力を持った方がいいと思うから」(47.5%)「働くことを通じて自己実現が図れると思うから」(29.2%)と、女性が仕事を通じて人生の充実を図ることへの期待も多い。
今回の内閣府の調査からは、「妻は家庭を守るべき」という意見がいまだに多い現状に対し、女性が仕事に就き働くことに関しては肯定的な考えを持つ人が大半であることが分かった。
一方で、「妻は家庭を守るべき」と答えてはいるものの、育児と仕事の両立が困難であることや経済的事情を理由に挙げる人が多く、意識改革の鈍化はひとつの側面にすぎない。
むしろ、女性の就労や社会進出についての幅広い理解は進んでいるものの、社会的・制度的なサポートが不十分であるため、やむを得ずの意見が多かったとも考えられる。実際、今回の調査で、「女性のリーダーを増やす時に障害となるもの」「女性が出産後も働き続けるために必要なこと」として、男性の理解や協力だけでなく、育児環境や労働条件を指摘する声も多い。
安倍政権は、「すべての女性が輝く社会をつくる」ことを目指し、今年10月17日に「女性活躍推進法案」を閣議決定、同31日に衆議院本会議で審議入りしている(関連記事:女性の社会での活躍を目指し、政府の取り組み本格化=2014年10月27日掲載)。今後、政府・行政による実効性の高い政策立案とともに、企業側も本腰を入れた取り組みが強く求められる。
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内閣府の調査は、全国20歳以上の日本国籍を有する男女5,000人を対象に実施。8月28日から9月14日の期間に、個別面接形式で3,037人から有効回答を得ている(有効回答率60.74%)。
男女双方を対象とした女性の就労に関する同種調査は、男女雇用機会均等法の施行翌年の1987年から、不定期に実施している。今回、安倍政権が「女性の活躍推進」を重要政策のひとつとして掲げていることなどから、前回までの「男女共同参画社会に関する世論調査」から改称した。
2014年11月13日配信