トップページ > 経営倫理情報 > ニュースダイナミクス > 2014年3月20日配信記事
日本経営倫理士協会が、経営倫理士資格取得講座と並んで活動の柱とするシンポジウムが3月5日、東京・千代田区の関西大学東京センターで開催。第5回を迎えたことしは「情報コンプライアンスと企業力〜企業情報の利活用と保護」をテーマに掲げた。
まずキーノート・スピーチを関西大学教授の野一彦氏が行った。
| キーノートスピーカーを務めた野 一彦氏 |
ことし6月、新しい個人情報保護法の要綱が公表、来年の通常国会へ向けて改正個人情報保護法が提出される見込み。
改正を促す強い動きは、@企業防衛という視点からの情報流出への対応、A情報技術の発展で顕在化した問題への対応、B国際的整合に関する課題の三つが上げられる。
国際的整合性の問題では、EUの一般データ保護規則提案に基づき、個人情報の管理が不十分な国へは個人データが移動できない。日本は、データ保護が不十分と見られ、EUの個人情報の利用が限定的。国際競争力の観点から、この課題への取り組みは急務。それには監視機関の設置、規定違反に対する法的制裁が必要と見られる。
企業にとっては、パーソナルデータへの対応が、現行法のコンプライアンスに十分な対応した経営判断や、企業内のルールだけでは事足りなくなっている。現行ルールの上に規範性、倫理性を載せるか、EUの規則など、国際的なレベルに合わせて自社のルールを改める、という対応が必要。
グローバル企業の情報コンプライアンスのポイントは、世界を観察し、それを早めに経営判断やコンプライアンス・ルールに取り入れ、会社の置かれている社会的立場に見合った経営判断をしていくこと。
企業から「こういう法律にして」という意見も出してほしい、などと述べた。
| 後半のパネルディスカッション。 左から野 一彦氏、坂井康文氏、 金野志保氏、安井孝之氏 |
続いて3人のパネリストのスピーチ。
まず、企業の立場から、サントリーホールディングス広報部の坂井康文氏。同社で、広報部と、各商品担当の部門で、ホームページ、ブログ、ツイッター、フェイスブックなどをどのように活用しているか、などを紹介。
SNSの投稿前にチェックしたり、「従業員の発信は公式見解ではない」というエクスキューズを載せるなどして、「炎上」を防止、社員へのSNS利用の教育もしている、という。
次に法律家の立場から、弁護士の金野志保氏が「法的観点から近時の事例を整理する」と題して講演。
情報コンプライアンスには「出してはならない情報を出さない」と「出すべき情報を出す」という二つの切り口がある。最近、情報漏洩が増えているのは、情報の価値が上がってきたから。不祥事が増えているのは、高い透明性が求められ、今まで見えなかった不祥事が可視化されてきた、という背景がある。
| シンポジウム会場となった関西大学東京センター (東京・千代田区)、約100名が参加 |
こうした話に加え、情報の隠ぺいを理由に役員に多額の損害賠償が認められた「ダスキン肉まん事件」など、出すべき情報を出さなかった重大な問題と、出したことで、顧客などとの信頼関係が守られた事例も紹介。
3人目は、マスコミの立場として、朝日新聞社編集委員の安井孝之氏が登壇。朝日新聞がSNSの利用に積極的で、新たな読者獲得などを図っていることなどを、個人的な見解を交えて語った。
最後に「何のためにSNSやビッグデータを使うのか、確認すべき。企業の情報漏洩リスクについては、従業員満足度を上げることがリスク軽減になる。不満があれば、いくらでも秘密が漏れる」などと話した。
後半は野氏が進行役となり、パネリスト3人が登壇してパネルディスカッション。会場からの質問に答えながら、SNS利用、アルバイトを含めた従業員の教育、ビッグデータの利用のメリット・デメリットなどについて、多角的な視点から話し合った。
2014年03月20日配信