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危機管理と記者会見 <第2回>
「謝罪会見に臨む前に知っておくべきこと」
■JRに対する企業イメージが変わってしまう
①社会(国民)に対する説明責任を果たす
2017年12月11日に発生した新幹線のぞみ号の博多発東京行の台車亀裂発生事故の謝罪会見は説明責任が十分果たされなかった事例です。一番の問題はJR西日本が、博多を出た直後に異常音に気付きながら、1000人もの乗客を乗せて、最高時速300Kmで名古屋まで走らせてしまったことです。これだけの異常に気付きながら列車を止めなかったのかと、すべての国民は疑問と不安を抱きました。博多を出た直後から異常音を乗務員が聞き、その後、JR西日本の管理下にある新大阪に到着するまで、「煙、もや、異常音」などを延べ30回にわたって10人の乗務員が感知していたことが判明しました。福山を出た後には異常な(車体の)振動まで感じたという発言もありました。にもかかわらず、岡山で乗ってきた3人の安全担当者が「列車を止めるまでの異常だとは思わなかった」と説明しました。このことが唯一最大の問題です。JR西日本もJR東海も、新大阪駅でのJR西日本からJR東海への引継ぎが不十分だったとか、列車を止める権限は(東京の)指令員にある、現場と指令員のコミュニケーションに齟齬があったなどと説明しました。これらは弁解や言い逃れに聞こえます。説明責任とは、国民が一番知りたいこと疑問に思うことを、(先取りして)分かりやすく説明(公表)することです。JR西日本は、謝罪会見後にホームページに「異常がないことを確認できない場合は、躊躇なく列車を止めることを徹底する」とアップしています。これでは「これまでは止めることを躊躇していることがあったのか」と読めなくもありません。
本来の謝罪会見は社会(国民)が疑問に思うことを、説明し→理解させ→納得してもらうプロセスです。このプロセスを完結させることが説明責任を果たすことです。
②謝罪会見が置かれた「状況」をわきまえる
謝罪会見に至った「状況」をわきまえ、(前回説明した)謝罪会見の原理原則を守っていたら、辞任に追い込まれなかったのが舛添東京都知事の謝罪会見の失敗です。それは2016年6月に突然発覚した高額の海外出張費問題から始まり、その後、公費や政治資金の「公私混同」疑惑に飛び火し、最初の発覚からわずか2カ月で辞任に追い込まれてしまいました。世間の注目が集まる政治家の特殊な事例ですが、企業にとっても分かりやすい謝罪会見の失敗(タブー破り)事例です。
③記者(世論)を怒らせてしまう謝罪者の深層心理の落とし穴
2014年1月25日の 籾井勝人NHK会長の記者会見は就任会見が(あたかも)謝罪会見になってしまいました。謝罪会見でトップがつい失敗してしまう深層心理のボロが出てしまいました。(慰安婦問題について聞かれて)「ここまで言うのはNHK会長としては言い過ぎだと思うが、会長の立場はさておき・・」と言ったのが立場をわきまえない失敗。「ここは会長就任会見という公式の場ですよ」と記者から指摘されると、「それでは取り消します」と。後の祭りでした。
④新聞記者やテレビ報道の特性を理解して対応する
新聞記者のバックには国民(世論)がいるということを肝に銘じて謝罪会見に臨まなければいけませんが、新聞記者の弱点も十分理解しておくことが必要です。別表を参考にしてください。
| <記者気質> | <そのことによる弱点> |
|---|---|
| 報道に対するあくなき追求 | 視野が狭くなることもある |
| 正義感が強い | 思い込みが激しくなる |
| 積極果敢な行動力 | 夜討ち朝駆けを権利と錯覚して人の迷惑を考えない |
| 批判精神が旺盛 | 批判することは正義だと錯覚する |
| 好奇心・探究心が旺盛 | 博識なようで浅識のことも多い |
| 素人の懸命さ | 時に知ったかぶり・針小棒大 |
| 自信と誇り | 自信過剰と傲慢さにもつながる |
| 社会の公器としての使命感 | 時にジャーナリズムの誤った倫理観に気づかない |
| 社会・消費者の代弁者の自覚 | 虎の威を借るキツネにもなる |