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日本経営倫理士協会(ACBEE)では、経営倫理に関するさまざまな情報を、同協会Webで発信し続けています。電子媒体によるこれらの情報は、ニュース記事、企業トップの動向、インタビュー、解説、論評など、いずれも経営倫理関連情報で他媒体より幅広く、深掘りしたコンテンツだけに、ユーザーの評価は高まっています。
ビジネスパーソンの活用へ深掘りWeb報道スタート
2017度から、ACBEE・HP(ホームページ)で「コンプライアンス春秋+(プラス)」がスタートします。「コンプライアンス春秋+」は、ACBEEによる情報発信を、従来よりさらに強力にするため打ち出された企画。内外の経営倫理・コンプライアンスの、組織と人に関する動向を報道型リポート中心にシリーズ化し、情報の質と量のさらなるレベルアップを図ります。
ACBEE・Webの利便性、効果を十分理解されるビジネスパーソンの活用を期待いたします。
スタートは、ダイバーシティ経営で注目されている松本晃カルビー会長・CEOの会見。
注目される女性管理職比率アップ
ダイバーシティ経営で、着実な実績
カルビー会長・CEOの松本氏が会見
カルビー株式会社会長・CEOの松本晃氏の記者会見が2017年4月25日、日本記者クラブで開かれた。2009年に同社に就任した松本氏が進めるダイバーシティ経営について、特に女性の活躍推進政策や働き方改革などについて話した。
カルビーが、いま関心を集めているのは、日本産業界で、ダイバーシティ経営の先陣を切った形で、着実に実績を積み上げ、評価が高まっていること。特に女性活躍推進では、2010年に5.9%だった女性管理職比率を16年に22.1%まで伸ばし、2020年までに30%にする目標を掲げ、注目されている。
記者会見では、通常、配布資料が数点配られるケースが多い。しかし、松本氏の会見資料はペーパー1枚のみ。ジョンソン・エンド・ジョンソンの企業倫理綱領ともいうべき「我が信条(Our Credo)」だ。「我が信条」は、経営倫理の基本として世界の企業に幅広く浸透、多くの企業が自社の倫理綱領や企業憲章などにその理念を取り入れている。
松本氏は、京都大学卒業後、伊藤忠商事に入社、その後、ジョンソン・エンド・ジョンソンに入り、1999(平成11)年10月、ジョンソン・エンド・ジョンソン社の代表取締役社長に就任。2008(同20)年、カルビー顧問に就任、現在に至る。ジョンソン・エンド・ジョンソン時代からダイバーシティ経営を強力に推進、リーダーシップを発揮した。常に経営ビジョンの基本に、同社の「我が信条」があった。今回の会見資料が、「我が信条」のペーパー1枚のみで会見に臨んだ姿勢には、「我が信条」を推進してきた強い意思が感じられた。
松本氏は、カルビーに移って以降、女性活躍推進なしにカルビーの将来はない≠ニ、ダイバーシティを重要な経営戦略の一つとして推進。多様な人材の活用を進め注目されている。2010年度には「ダイバーシティ委員会」を設置。さまざまな活動を通して社内の改革を行ってきた。これら同社の取り組みが高く評価され、「なでしこ銘柄」(経済産業省などが選定)に、女性活躍推進に優れた企業として3年連続して選定されている。その他、多数の評価・選定機関からも表彰されている。
我々の第一の責任は、我々の製品およびサービスを使用してくれる医師、 看護師、患者、そして母親、父親をはじめとする、すべての顧客に対する ものであると確信する。顧客一人一人のニーズに応えるにあたり、我々の 行なうすべての活動は質的に高い水準のものでなければならない。適正な 価格を維持するため、我々は常に製品原価を引き下げる努力をしなければ ならない。顧客からの注文には、迅速、かつ正確に応えなければならない。 我々の取引先には、適正な利益をあげる機会を提供しなければならない。
我々の第二の責任は全社員 ――世界中で共に働く男性も女性も―― に対する ものである。社員一人一人は個人として尊重され、その尊厳と価値が認め られなければならない。社員は安心して仕事に従事できなければならない。 待遇は公正かつ適切でなければならず、働く環境は清潔で、整理整頓され、 かつ安全でなければならない。社員が家族に対する責任を十分果たすことが できるよう、配慮しなければならない。社員の提案、苦情が自由にできる 環境でなければならない。能力ある人々には、雇用、能力開発および昇進の 機会が平等に与えられなければならない。我々は有能な管理者を任命 しなければならない。そして、その行動は公正、かつ道義にかなったもので なければならない。
我々の第三の責任は、我々が生活し、働いている地域社会、更には全世界の 共同社会に対するものである。我々は良き市民として、有益な社会事業 および福祉に貢献し、適切な租税を負担しなければならない。我々は社会の 発展、健康の増進、教育の改善に寄与する活動に参画しなければならない。 我々が使用する施設を常に良好な状態に保ち、環境と資源の保護に努め なければならない。
我々の第四の、そして最後の責任は、会社の株主に対するものである。 事業は健全な利益を生まなければならない。我々は新しい考えを試み なければならない。研究開発は継続され、革新的な企画は開発され、 失敗は償わなければならない。新しい設備を購入し、新しい施設を整備し、 新しい製品を市場に導入しなければならない。逆境の時に備えて蓄積を 行なわなければならない。これらすべての原則が実行されてはじめて、 株主は正当な報酬を享受することができるものと確信する。
(ジョンソン・エンド・ジョンソンH.P.より)
松本氏は会見で、「カルビーは少し変わっただけ…。会社経営はやさしく考える方がいい。経営とは、全てのステークホルダーが喜ぶことをやれば良い。我が社での変革の一つがダイバーシティだ」と控えめに、落ち着いた口調で話した。
さらに「具体的には、会社の仕組みを考える発想が重要。何のための変革か…、その回答は、成果を出すためにやるのだ。」「業績が悪くなるとダイバーシティが後退してしまう企業がある。この時こそ、トップマネジメントが注目される。カルビーは、いま一歩ずつ変わっている…」などと話した。
さらに、「女性は偉くなりたがらないとか…、女性を偉くしようにも社内に人がいない…などの声も出るが、これはウソだ」と力を込めて否定した。カルビーでは、7人の取締役中、現在2人が女性。ポートレートのスチール写真を併用しながら、丁寧に説明。上級執行役、執行役、工場長等への女性登用についても解説した。
「我が信条」=1943年、当時会長兼CEOであったジョンソン(Johnson.R.W.)が、ジョンソン・エンド・ジョンソン社のコアバリューとしてまとめた企業理念。同社が果たすべき責任と理念について、4つの章に分けて記述。4章とは、「消費者」「社員」「地域社会」「株主」に対するもの。経営倫理や危機管理等への対応で、当時先駆的な考え方が導入されており、企業の倫理綱領や憲章作成基本として使われている。
2017年5月8日配信