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トップページ > 経営倫理士とは > 経営倫理士講座アーカイブ > 22期:2018年10月15日実施講義

<第16回講義:講座総括シンポジウム〜企業不祥事にどう向き合うか>
 「社会からの期待に応えるために」
              活発にグループワーク

ファシリテータ->野 一彦講師(関西大学教授・第5回出講)・山中 裕氏(日本経営倫理士協会監事・総合企画委員、KTコホート研究所所長)

第16回講義は「講座総括シンポジウム〜企業不祥事にどう向き合うか」。10月15日、野一彦講師、山中 裕氏を進行役に、「情報流出」など4つの論点でグループワークと発表を行った。最初の30分で「企業を取り巻く法の変化」のプロローグの講義があり、その後、受講者がグループワーク(討議60分)を行い、7グループの発表をもとに全体ディスカッションを行い、野講師が最後に講義を締めくくられた。

7グループに分かれ4テーマによるグループワークも活発に

■企業を取り巻く法の変化

プロローグの野講師の講義では、この10年間での企業不祥事の傾向、それに対応したコンプライアンス体制を求める法の変化を説明。法が企業に求める自律的な管理として、法の牽制機能の主役が、公的機関(行政)から私人(民間)に、またコンプライアンスの対象が、当該法人から企業集団(グループ)へと変化してきたことでコーポレートガバナンスと内部統制の必要性について説明。適法、違法ラインのグレーゾーンが広くなってきており、企業独自の判断基準を設定し運用する必要がある。その結果、経営者の経営判断の合理性に関する判断基準として、適法性、社会受容性、そして経営の3つの視点からの判断が求められる。適法ラインや違法と適法の境が不明確な部分にどの程度「倫理性」「誠実性」を上乗せして判断すればよいか、またグローバルな事業展開を行う企業の場合、どのレベルに基準を合わせたらよいか、などの問題提起がなされた。

■自社の具体的事例で情報共有

グループワークでは、4つの論点の「情報流出」「経営者の関与」「外国法の域外適用」「データ改ざん」をテーマに、7グループで議論。リーダーを決め、事前配布のMOOK ACBEE「企業不祥事動向(ワースト10)2010〜17年」を参考に、受講生自身の会社の具体的事例について、原因、対策、再発防止策等を情報共有し、今後の参考とした。1グループ5〜6名で、メンバー全員が参画し、どのグループも真剣に取り組み、共感や驚嘆の声や笑い声も聞かれ活発な意見交換が行われた。

発表では、具体的内容は守秘の上、個人情報流出、経営者関与の会計不正、FCPA(アメリカ海外汚職行為法)違反など、他では聞けないような事例紹介もあり、大変参考になったとの声が聞かれた。また、飲食店での銘柄虚偽表示問題の発表については、内部通報からの発覚であることから、内部通報制度の先進企業から実効性を高めるための各種施策などの運用状況についての説明があった。

ファシリテーターの野一彦講師(左)と山中裕氏

■4つの論点をまとめ再確認

グループワークの討議と発表を受けて、野講師は4つの論点をもとに講義。@情報流出事件:情報セキュリティは訴訟、刑事罰リスク、信用失墜など大きな損害を被ることになることから、経営上の重要マターである。A経営者の義務と責任:取締役の義務と責任から内部統制システム構築の必要性と改正ガイドラインに基づく検討事項から、内部通報制度に関する認証制度の導入について説明。B外国法の域外適用:アメリカ海外汚職行為法、イギリス贈賄法の概要と対策についての説明。Cデータ改ざん・偽装事件:近年の傾向として、品質問題など違法性は無いが社会が受容しないケースの説明。そして、社会に与える影響を考え、社会からの期待に応えることが企業の社会的責任であることを再確認された。

最後に、山中ファシリテーターより、「不祥事には不条理や理不尽があり完全な対応というものは無いが、可能な限りベストを尽くすことが必要である」とのコメントがあり、高野講師からは、「皆さんの会社は日本を代表する企業として、社会の『お手本』となるべき立場であり、皆さん一人一人がその役割を担っていることから、ぜひコンプライアンスマネジメントを回し続けてほしい、期待しています」とコメント、講義を終えた。

本講座を総括する最終回として行われ、全員参画での充実した講座となった。

【講義リポート = 山口 達哉(総合企画委員)】


2018年11月12日配信

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