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トップページ > 経営倫理士とは > 経営倫理士講座アーカイブ > 22期:2018年10月3日実施講義

<第13回講義:「メディアを知り、情報に強くなる 
     〜情報リテラシーを養い、新時代を生き抜く〜」(両角 晃一講師)>

 “氾濫する情報の海”の中で真実を見分ける目を

第13回講義は第12回と同日の10月3日、 両角晃一講師(株式会社テレビ朝日 常務取締役)による「メディアを知り、情報に強くなる 〜情報リテラシーを養い、新時代を生き抜く〜」。

拡大するネット空間の世界で正しい情報の取得能力をどう養うか講義する両角講師

■メディア環境激変の時代

メディアには、新聞やテレビ、ラジオといった「伝統的メディア」、ツイッターやフェイスブック、LINEなどの「ソーシャルメディア」、NETFLIXやAmazonプライムといった動画配信サービスの「ネットメディア」がある。特に動画配信サービスが開始された2015年は日本におけるメディア環境激変の年であり、従来の発行部数や視聴率を取り合う競争から「時間」を取り合う競争に変化している。また、スマートフォン(スマホ)の急速な普及によって、もはや私たちはスマホがないと何もできないと言っても過言ではない時代になっている。

■ネット時代における伝統的メディア

このようにネット空間がますます拡大する中、2016年のアメリカ大統領選挙で顕在化したように「フェイク(偽)ニュース」という“危うい情報”が氾濫し、うそやあいまいな事柄が繰り返し言及されることで「オルタナティブ・ファクト(もう一つの事実)」となっていく状況が生まれている。今から100年近く前の関東大震災時にもデマによる集団ヒステリーから朝鮮人虐殺事件が発生したように、このようなことは今に始まったことではないが、ネット社会にあってはそれが瞬時に世界中に拡散し、社会を混乱に陥れることができる。
 このような「ソーシャルメディア」や「ネットメディア」が急成長するネット時代において、「伝統的メディア」が弱体化していることを各種データが示している。2017年の情報通信に関する総務省調査によると、10〜30代だけでなく、40代でもインターネットを利用する割合が初めてテレビの割合を超え、ネットが若者から中高年へと浸透している実態が浮き彫りになった。さらに、スマートフォンの利用率は初めて8割を超えた。また、日本新聞協会の調査によると、新聞発行部数は2000年では約4,740万部であったのに対し、2017年は約3,876万部と、この17年で約2割減少した。
 しかし一方で、2017年の総務省調査では、メディアの信頼度という意味では、ネットを信頼できると答えた人が30.8%であったのに対し、新聞は68.7%、テレビは63.6%の人がそれらを信頼できると答えている。ジャーナリズムとして最も長い歴史を持つ新聞は、速報性や映像力には欠けるが、訓練された大勢の記者や編集者集団に支えられ、依然として大きな影響力を持っていると言える。

■ますます高まる情報リテラシーの重要性

企業活動においても、誤った情報をもとに判断を下していけば、やがては破綻を来す。ネット時代において情報の総量が幾何級数的に増えると同時に、フェイクニュースのような危うい情報が氾濫する中で、正しい情報を見分ける情報リテラシー(読み解き判断する能力)の重要性はますます高まっている。そのような情報リテラシーを養うためには、特定のメディアの情報をうのみにせず、複数のメディアの情報をクロスチェックすることが重要であり、一人一人が正統派ジャーナリズムを見分ける「審美眼」を持つことが大事である。また伝統的メディアも、今こそ長年培ってきた公平・公正な情報や多様な価値観をネットの中にも築いていくべきである。

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 長年メディアの世界を歩み、舞台裏を知り尽くした講師の話に受講者は興味深く耳を傾けており、講義終了後には、正しい情報の見分け方や誤報・虚報防止のための業界での取り組みの可能性から、取材者への対応の仕方まで、受講者から活発な質問や意見が寄せられた。

【講義リポート = 森田 裕之(総合企画委員)】


2018年10月24日配信

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