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トップページ > 経営倫理士とは > 経営倫理士講座アーカイブ > 22期:2018年9月19日実施講義

<第11回講義:「LGBTと企業の対応」(寺原真希子講師)>
 性のあり方としてその人らしく生きられる社会へ

第11回講義は9月19日、寺原 真希子講師(弁護士法人東京表参道法律事務所 弁護士)による「LGBTと企業の対応」。

LGDTの人々が特別というのではなく、個人が持つ一つの特徴とする寺原講師

■LGBTの基礎知識と取り巻く環境

初めにLGBT、性同一性(トランスジェンダー、性同一性障害)、性的指向などについて用語の解説が行われた。性別違和≠性的指向であり、異なる概念であること。性同一性も性的指向も病気ではなく、自身でコントロールできるものでもないこと。また、LGBTはヒトを対象とした言い方であるが、国際的にはSOGI(ソジ)という表現が使用され始めていること。実態として性同一性や性的指向は、性のグラデーションとして捉えられ、さまざまなタイプの方が存在することなどが説明された。
 LGBTの数的割合は、およそ8%程度であるとの調査報告があり、カミングアウトしていないヒトが多く、身近にいるにもかかわらず差別や偏見が根深い環境にある。一方でLGBTの方々は総体的に自己肯定感が低く、そのため自殺念慮率が高い問題も指摘された。LGBTの理解には人権教育の不足やTVなどの影響も大きく、受け入れる意識がなかなか醸成されていないのが現状である。

■ハードルが高い法制度

国内において「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」が2004年7月に施行されている。性別変更の審判要件が厳しく、認容件数は2017年までで7809人であり、ハードルが高い状況にある。また、海外の法制度について紹介があり、国連から日本へは2014年に包括的な差別禁止法を採択すべきとの勧告が出されていることなど、取り組みが遅れている状況について説明された。
 次に同性カップルの権利保障に関する地方自治体の取り組みや、渋谷区によるパートナーシップ証明書、大阪市が男性カップルを里親に認定したことなどの紹介があった。

■企業による取り組みの必要性

企業がLGBTについて取り組みを行う意味として、基本的人権の尊重が大前提であるが、訴訟リスク(使用者責任、安全配慮義務、職場環境配慮義務)を回避し、社員及び顧客らから企業に対する信頼を得ることがある。また、企業の社会的責任(CSR)としても取り組んでいく必要がある。ケーススタディーとして、具体的な企業内の事例8つのケースを受講生数人ごとに分かれて検討を行い、発表と解説がなされた。ケースは、内定取り消し、配置命令権、転勤命令権、家族手当の支給、トイレ問題、申告を受けた場合、忘年会余興、カミングアウトとアウティング(本人の許可なく公にしていない性的指向や性同一性などの秘密を暴露する行動)が取り上げられ、問題点の理解と対応が示唆された。
 さらに、2016年に任意団体work with Prideが策定したLGBT指標に照らして、4項目の取り組みのポイントが紹介された。
 最後に、全ての人々がそれぞれのセクシャリティー(性のあり方)を有しており、LGBTの人々が特別ではなく、個人が持つ一つの特徴であるに過ぎないこと、個々人の差異や特徴を見ずにレッテルを貼ることは他の差別問題につながるものであり、全ての人がその人らしく生きられる社会へ意識を変えていくことの重要性が述べられた。

【講義リポート = 佐藤 直人(総合企画委員)】


2018年9月26日配信

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