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トップページ > 経営倫理士とは > 経営倫理士講座アーカイブ > 22期:2018年9月12日実施講義

<第10回講義:「経営倫理とCSV」(水尾順一講師)>
 CSRの体系化、浸透・定着への要件を豊富な事例で

第10回講義は、水尾順一講師による「経営倫理とCSV」。水尾先生の簡単な自己紹介、講義概要の説明のあと、以下のとおり進められ、最後に今後の課題を提起して講義が締めくくられた。

CSRとCSVで具体的に企業事例を引いて講義した水尾順一郎講師

■普遍的価値のCSR(基本的考え方)

最初に、1987年の東芝子会社によるココム違反事件を取り上げ、この年が企業不祥事のターニンング・ポイントとなり、以後、企業不祥事が相次いだことを数字で確認し、CSRが脚光を浴びるようになった背景事情を説明。そのうえでCSRの定義や4段階(法的責任・経済的責任・倫理的責任・社会貢献)など、CSRに関する基本的な考え方を解説した。

■時代の要請に応えるCSRの重点課題

次に、CSRの歴史に続き、2011年に提唱されたマイケル・ポーターとマーク・クラマーの「共益の創造(CSV: Creating Shared Value)」を解説し、その事例としてヤクルト、明治、ユニリーバ、住友化学の取り組みを紹介。また、1990年の三菱アジア子ども絵日記フェスタを題材に、戦略的CSRとSDGsの関係を説明し、CSRとCSVの違いについて受講者同士でディスカッションタイムが設けられ、活発な議論のあと討議の内容が2、3発表された。
 休憩の後、ESG投資とSRバンキングの説明を行い、CSRが市場原理として動き出したこと、またCSRが経営を変えた事例として、SCSK(スマートワーク)、日本生命(男性の育児休業取得100%)、アデランス(ダイバーシティセミナー)などの取り組みが紹介され、実務者として理解しやすい内容であった。

■CSRを育むESD、サーバント・リーダーシップ

CSRの体系化と浸透・定着の要件として、ESD(持続可能な開発のための教育:Education for Sustainable Development)とサーバント・リーダーシップ(支援)が必要であることが示され、前者の事例として駿河台大学や専修大学での水尾ゼミの活動が、また後者の事例として西武ホールディングスや米国ノードストロームの取り組みが紹介された。さらにサーバント・リーダーシップを実践した人物として、上杉鷹山や松下幸之助も紹介された。
 また、すべてのステークホルダーに対する「共感(Sympathy)の思想」が必要というアダムスミスが紹介され、その好事例としてダイセルが行っている社内研修(見える化・聞ける化・言える化)が紹介された。

■倫理的な企業が賞賛される社会へ(今後の課題)

最後に、倫理的な企業が賞賛される社会となるための今後の課題として、@ESGによる社会的評価が投資を促進すること、A学生のリクルートに貢献すること、B互いに認め合う制度(表彰制度、認証マーク等)が必要なこと、という水尾先生の強いメッセージで締めくくられ、まさにここに解があるのではないかと示唆される素晴らしい講義であった。

【講義リポート = 岸野 敏幸(総合企画委員)】


2018年9月26日配信

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