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トップページ > 経営倫理士とは > 経営倫理士講座アーカイブ > 22期:2018年5月30日実施講義

<第2回講義:「経営倫理と法務」 (浜辺 陽一郎講師)>
 不可欠なコンプライアンスの実効性を強調

第2回講義は、5月30日、浜辺陽一郎講師(青山学院大学法務研究科 法科大学院教授、弁護士法人早稲田大学リーガル・クリニック弁護士)による、「経営倫理と法務」。

■増大してきた経営倫理の要請

まず、経営倫理の要請が増大してきた背景について、主に米国の「連邦量刑ガイドライン」の影響を大きく受けて拡大してきたコンプライアンスの考え方とヨーロッパを中心に発達してきたCSRの考え方を比較しながら紹介した。両者はいずれもステークホルダー理論を背景とする点で共通すると指摘、また日本における社会的責任論の進展やコーポレート・ガバナンスコードにも言及しながら、経営倫理が経営にとっての主要な課題として捉えられるに至った経緯が解説された。
 コンプライアンスは単なる「法令遵守」にとどまらないことを強調しつつ、企業経営の効率性と健全性を上げることを目的としたコーポレート・ガバナンスにおいて、コンプライアンスやCSRは健全性を高めるために不可欠な考え方であり、その具体的手段として内部統制の制度化、手法としてリスクマネジメントが位置付けられた。

コンプライアンス対応の強化は必須と語る浜辺陽一郎講師

■内部統制システムの制度化

今やあらゆる変化の流れがコンプライアンスを要請しており、企業はトップから一般従業員に至るまで、そしてグループ企業全体でその経営環境の変化を認識することが求められている。企業防衛という観点からも、そして企業ブランドの維持・向上という観点からも、さらには企業業績の長期的な向上ためにもコンプライアンス対応の強化は必須であり、その手段としてわが国でも内部統制の制度化が各種法律においても進められている。その実際について、会社法の成立と平成26年改正によるすべての株式会社に対するコンプライアンスの推進・強化、金融商品取引法によって上場企業に求められる内部統制報告制度、さらに公益通報者保護法による内部通報制度の活性化、改正独占禁止法とリニエンシー制度(制裁減免制度)の概要が紹介され、これらがシナジー効果を発揮してコンプライアンス態勢強化の流れが確立してきた経緯が解説された。

■コンプライアンスプログラム

コンプライアンス経営の実践的な技法として、米国の連邦量刑ガイドラインにおけるコンプライアンスプログラムの概要が解説された。事前予防(情報収集、ルールの確立、ルールの明示・宣言、監督責任者の権限確保、効果的研修・教育プログラム)と事後対応(報告システム・問題処理窓口体制の整備、トラブル対応・事後調査、処分・公表・反省)の基本的なステップを企業は押さえておくべきことが強調された。

■今後の課題とまとめ

以上のように、現代の企業経営においては、企業防衛上のみならず、中長期的な業績向上の意味からも、法令遵守にとどまらない、より広い意味でのコンプライアンスへの実効性のある柔軟な対応が不可欠であるとした。その取り組みを成功させるためには、@既存の体制の改善とフル活用、A臨機応変な対応、B従業員全体の参加意識、C「やらされ感」でない戦略的・積極的な取り組み、D業務改善・合理化と企業価値向上への結びつけ―という5つのポイントが重要であるとした。
 講義終了後も、談合や公益通報者保護法、グローバル企業の対応、コンプライアンス経営への取り組みの公表などについて積極的な質疑応答が行われ、この問題に対する受講者の関心の高さがうかがえた。

【講義リポート = 森田 裕之(総合企画委員)】


2018年7月4日配信

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