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「If it comes down to a choice between making a desired profit and doing it right, we don't have a choice. We'll do it right.」(テキサス・インスツルメンツ元会長 ジェリー・R・ジャンキンス)

名言再訪(15) 社員の行動基準を明示

不祥事が後を絶たない。多くの企業が守るべき目標として経営倫理憲章を掲げているが、抽象的な御題目を羅列しただけで、トップの本気度が伝わってこないからである。それに比べて、米国半導体大手のテキサス・インスツルメンツ(TI)元会長のジェリー・R・ジャンキンスの言葉は秀逸。社員が正しい判断をするうえで明確なよりどころとなっている。

トップが「期待通りの収益をあげなくてもいいから正しい行為を選べ」といっているのだから、これほど確かなことはない。上記の言葉のすぐ後に「あらゆる点で正しい行いをしていかなければなりません。短期利益のための便宜的妥協、あるいは安易な方策は認められません」と念を押している。

ここまでトップに言われてなお不正を犯す社員がいるだろうか。社員が不正行為に走るのはトップの「倫理を守れ」という言葉とは裏腹に「利益を上げないでどうするのか」という胸の内を読んでいるからである。

TIが経営倫理憲章を最初に作ったのは1961年。米国企業でも早い方だった。業容が急速に拡大し、海外業務が急展開しつつあったときである。そうしたなかで経営の求心力を保つには、どんな理念に基づいて経営するかを明確にする必要があると判断したのである。その後、何度か改訂を重ね、その都度、トップが社員にありきたりの言葉ではなく、自らの肉声で真意を語りかけてきたことで定評がある。

皆それぞれに味わい深いが、なかでも的確で分かりやすいのが1990年版に載った上記のジャンキンスの言葉である。

TIは経営倫理憲章を「ETHICS IN THE BUSINESS OF TI」と題して小冊子形式で発表してきたが、最近ウエブに切り替えた。そこでもこの言葉は紹介されている。四半世紀を経ても決して古くなることなく、要にして簡を得た経営倫理の屈指の名言となっているからである。 

(小山博之)

『経営倫理フォーラム』第32号掲載


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