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トップページ > 経営倫理フォーラム > 経営倫理 寸感…寸言… > 2016年12月01日配信記事

<経営倫寸感…寸言…B
ISOマネジメントシステム規格開発の潮流

執筆:ジェイ−ヴァック 代表取締役副社長
森田 裕之(経営倫理士)

私はISOマネジメントシステムの認証機関の経営と審査員としての活動をしていますが、 本稿ではISOと国際規格開発の動向についてご紹介したいと思います。

■「仕組み」を国際標準化
 ISOとはスイスのジュネーブに本部を置く「国際標準化機構」という国際標準を作成する世界最大の非営利組織で、1947年にそれまでの万国規格統一協会(ISA)を発展させる形で設立され、現在は160以上の加盟国の標準化団体から構成されています。ここでは文字通りさまざまな「標準化」が行われており、有名なところではネジやフィルムの感度といったものがありますが、これら「モノ」の標準化に対して「仕組み」を標準化したものがISO9001やISO14001に代表される「マネジメントシステム」規格です。
 中でもISO9001はその先駆けとなるもので、1987年に初版が作成され、以後2000年と今回の2015年に大きく改定され、「品質マネジメントシステム」の規格として国際的に定着しています。ISO9001の発行後、ISO14001(環境マネジメントシステム)、ISO/IEC27001(情報セキュリティマネジメントシステム)など、さまざまなマネジメントシステム規格が作成、発行されています。
 これらの規格には、大きく分けて「要求事項」を規定した規格と「指針」を規定した規格があります。前者は第三者認証(独立した機関による認証)を目的としたもので、規格の要求事項に基づいた適合性評価を行い、認証授与が行われますが、後者はそのような認証ではなく、あくまで組織が参考として使用することを目的としています。ちなみに経営倫理士の皆さんにおなじみの社会責任の規格であるISO26000は後者に該当します。

■組織が捉えたリスクに自主対応するための役割にも
 現在ISOマネジメントシステムに携わる私たちの中で最も大きな話題が、ISO9001とISO14001の2015年改定です。 国際規格は定期的にその有効性を見直し、必要な改定が行われますが、今回の改定は非常に大きな改定と捉えられていて、 既に認証を受けている組織に大きな影響を与えるものです。この改定の最も大きな特徴の一つとして、組織の状況を特定し、そこから来るリスク・機会を捉え、それをマネジメントシステムに反映させることが挙げられます。これは当初ISO9001の規格が具体的な要求事項の羅列であったのに対し、「組織が捉えたリスクに対応するために必要なことを組織自身が決めて実施する」という、組織の独自性や自律性を大きく認めたものになっており、これは他のマネジメントシステム規格にも当てはまる大きな流れと言えるでしょう。
 さらに、ISOもトリプルボトムライン(経済、環境、社会)の考えに基づき持続可能な社会実現を見据えたマネジメントシステム規格開発を行っており、上記のISO26000をはじめとして、ISO22301(事業継続マネジメントシステム)やISO19600(コンプライアンスマネジメントシステム)、そしてつい最近発行されたISO37001(贈賄防止マネジメントシステム)など、社会的な分野における規格開発も盛んになっています。
 このように、ISOによるマネジメントシステムの国際規格開発も、組織固有のリスクに柔軟に対応し、組織の社会的責任を実現するためのものへと変わりつつあり、経営倫理やCSRの分野においても、今後さらにISOマネジメントシステム規格の果たす役割は大きくなることが期待されます。


2017年01月15日配信


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