本文へスキップ

企業・組織の経営倫理を推進する人材を育成・支援するNPO法人

トップページ > 経営倫理情報 > 現場の視点…経営倫理士実務レポート > 連載第1弾(第3回)

<第3回>
 労働力と人づくりと国際貢献

・人材育成と労働力確保のバランス
 前述のとおり外国人技能実習では、さまざまなトラブルが一部に発生している。そこで制度の趣旨である人材育成と、現実的な労働力確保という対峙点を、しっかりと直視する必要がある。

 なぜならばこの制度についてさまざまな意見や批判がある一方で、実際に農業の生産現場に外国人技能実習生が2.2万人在留し、労働力構成の一端を担っていることや増え続けているという事実があり、今後もその必要性は減らないと考えられるからである。

 そこで人づくりと労働力確保とを、適正かつバランスをとって両立させていくことが求められる。つまり日本人雇用であれ外国人雇用であれ、また法律があろうがなかろうが、人材育成という基軸がぶれないことが大切である。

・外国人雇用のプラスとマイナス
 農業分野で外国人労働者を雇用していくには、外国人技能実習制度の活用がベストだと考える。雇用面での第一の利点は、最長3年間雇用できることである。しかも賃金収入に意欲ある若くて優秀な外国の青壮年であり、技能修得や仕事には一生懸命努力する。つまりこの点から、技能実習生であるとともに「3年間の頼れる安定労働である」とも評価できる。しかしこのプラス面は、賃金最優先の反面性があることに、注意しなければならない。

 外国人技能実習生雇用のマイナス面もある。第一には言葉で、事前に国内外で数ヶ月間日本語会話を訓練するが、到底日本人と同じようにはいかない。

 次に文化や宗教の違いから考え方や生活様式が異なっているので、現実場面ではモラルやミスマッチ(行き違い)によるいろいろな問題も発生している。さらに外国人だということは、主権や政治リスクを含んでいることも忘れてはならない。

 このように外国人技能実習生雇用にはプラス面もマイナス面もあるが、共通の使命感や生活感を持ち、信頼関係を構築し程よい距離感を持って共存・共生することである。

・多様な雇用形態と持続発展
 日本人であれ外国人であれ、従業員育成としての基本は人づくりである。しかし、雇用目的や将来性には自ずと違いが生じる。そこで日本人従業員と外国人雇用を、どう棲み分けていけばよいか。

 日本人従業員の採用や雇用は、将来の幹部や経営者の育成であり、多数いるパートやアルバイトは、現場の作業熟練者としての期待がある。

 一方外国人(技能実習生)雇用は、相応の責任や費用と負担がありながらも、技能実習と3年間の労働力確保とを適正に両立させていくことである。その結果は外国への国際貢献、技能実習生達を通じたネットワークや国際交流、ひいては自らの事業の海外進出チャンスさえ生まれてくるかも知れない。

 これからの時代は多様な雇用形態が生まれ、さまざまな形で必要となってくるだろう。このことをしっかりと捉えるならば、課題は存在しその克服は必要だが、外国人(技能実習生)雇用は農業経営体の成長と発展のため、賢明な選択肢の一つだといえる。(おわり)

ペンネーム「はっちゃん」

2013年03月11日配信


記事一 配信
<連載第1弾>
外国人農業技能実習に見る経営倫理
(執筆者:全国農業会議所 相談員 経営倫理士・八山政治さん)
第3回 労働力と人づくりと国際貢献
2013年03月11日
第2回 農業での相談概要や事例
2013年02月23日
第1回 外国人農業技能実習の実態
2013年02月04日

前の記事へ 記事一覧へ戻る