本文へスキップ

企業・組織の経営倫理を推進する人材を育成・支援するNPO法人

トップページ > 経営倫理情報 > 現場の視点…経営倫理士実務レポート > 連載第1弾(第1回)

<第1回>
 外国人農業技能実習の実態

(1)制度のルールと法令順守
 農業での技能実習生の招聘は、かならず非営利の監理団体を通すことになっており、団体監理型受入れという。

 制度の基本理念は、前述のとおり海外青壮年の人づくり、ひいては先進国としての国際貢献である。したがって監理団体や実習実施機関(農家・農業法人)に、多くの役割と義務が課されている。また実習計画が義務付けられ、到達目標の設定とその確認が必要で、技能評価試験合格などの要件で、技能実習2号へ移行する。つまり日本では、外国人の単純労働力受入れは認めていない。

 外国人が日本の生産現場で働き学ぶ制度であり、関係者は日本の出入国管理法(入管法)や労働関連法令を遵守しなければならない。具体的に技能実習生には労働基準法等が適用され、適正な労務管理や賃金支払いなどが必要である。

 したがって受入れ(雇用)側に相応の負担と配慮が必要で、寛容で柔軟な対応が求められる。しかし厳格化や適正化が求められる一方で、現実には全産業で一部に問題やトラブルが発生している。

(2)減らない外国人技能実習生
 農業の2万人超の在留者数は、今やこの技能実習生達が日本農業の生産現場を支えているという、一面を示している。なぜ減らないのか、外国と日本のニーズから判断してみる。

 まず送出し側ニーズには、@先進技能等の修得・習熟(本来の趣旨)、A母国では得られない高賃金の取得、B日本語や日本式ルール、C職場規律・職場倫理の習得などがある。受入れ側ニーズとしては、@制度を理解し、A農業の担い手不足への対応、B若い労働者参入による活性化期待、C帰国実習生との交流などである。

 要因はいろいろあるが、「技能実習生は豊かな収入の獲得、受入れ農家側は労働力確保やコスト抑制」という、現実的な課題を直視する必要がある。さらにその背景には、農家の人手不足と行政指導や政治の問題がある。

(3)労務管理と注意すべき課題
 農業は天候等に左右されやすい作業の特殊性から、労基法第41条1で労働時間、休憩、休日については適用除外となっているが、基本的に労働基準法(労基法)に準拠する。農水省は平成12年から通達を出して、他産業並の労働条件を整備し、優秀な技能実習生を確保するため統一的に指導している。

 したがって農家・農業法人は、労基法の遵守や公的保険へ加入義務があり、外国人技能実習生にも健康保険や年金等への加入義務がある。ほとんどの受入れ機関は遵守しているが、一部に反対も含めてさまざまな意見がある。

 全産業分野で、帰国間際や帰国後の賃金の未払い請求が増えている。また農業では、仕事と家事の区別がつきにくくトラブル要因ともなり、人権擁護団体も注意している。

 平成23年度法務省入国管理局の不正行為認定数(全産業)は、53.8%が賃金等の不払いであり、時間外や深夜労働の割増賃金支払の違反が目立っている。特に農業では労基法の適用除外と行政指導の扱いが、より時間外賃金支払など難しくしている。(つづく)

2013年02月04日配信


記事一 配信
<連載第1弾>
外国人農業技能実習に見る経営倫理
(執筆者:全国農業会議所 相談員 経営倫理士・八山政治さん)
第3回 労働力と人づくりと国際貢献
2013年03月11日
第2回 農業での相談概要や事例
2013年02月23日
第1回 外国人農業技能実習の実態
2013年02月04日

前の記事へ 記事一覧へ戻る 次の記事へ