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トップページ > 経営倫理フォーラム > マイ・ノート 経営倫理 > 2018年10月24日配信記事

(14)スポーツとフェアプレー

執筆: ACBEE総合企画委員 後藤 忠良

今年の夏は思いのほか暑かった。ダブル高気圧によるものという説が多いが、筆者は甲子園で発生した、三つ目の高気圧も寄与していると思う。
 今年の甲子園は、図抜けた実力を持つ大阪桐蔭高校の春夏2回目の連覇をどこが阻むか、ということが大会前の大きな話題だったが、ふたを開けてみたら、あれよあれよという間に名だたる強豪校を倒して、秋田県代表の県立金足農業高が決勝まで進み、関係者の思惑をひっくり返してしまった。好投手の呼び声高い吉田輝星(こうせい)投手が、県予選から甲子園の決勝戦中盤まで、11試合1517球を一人で投げ切り、スーパーマンのような快投を演じてしまった。高校生離れした球威と投球術を兼ね備え、スポーツメディアを熱くし、全国野球ファンの心を独占してしまった。

■日本学生野球憲章
 さて、本題に移ろう。筆者は人生の半分以上をアマチュア野球の審判にボランティアとして携わってきた。現在も地元の大学野球リーグの審判を預かっている。プロ・アマ関係なく、ゲームを見ていると、勢いジャッジとか審判の動きに目がいってしまう。
 今でも忘れられないジャッジがある。2007年の高校野球甲子園大会での広島・広陵高校と佐賀北高の決勝戦、広陵が4-0とリードして、8回裏佐賀北の攻撃で2アウト満塁、打者のカウント3ボール2ストライク、6球目の投球、はた目にはストライク(?)、ところが球審のジャッジは”ボール“。このジャッジで試合の流れは大きく変わる。押し出しのフォアボールとなり、佐賀北に1点が入り、1-4となる。次の打者が逆転の満塁ホームランを放つ。佐賀北が逆に5-4とリードし、そのまま広陵の9回の攻撃を0点に抑え、劇的な初優勝を飾る。
 この6球目の投球シーンを民放の解説者としてみていた有力校の監督に、後日話を聞いたところ、彼も瞬間「ストライク」と思ったという。ところが、球審は捕手がミットをちょっと上げたのを見逃さなかった。それを見て「ボール」といったのではないかとのこと。
 この一言で筆者も納得した。アマチュア野球ではフェアプレーが厳しく唱えられている。捕手に対しても「補球後、ミットを動かすな」と厳しく指導されている。「ミットを動かすということは、球審の目をごまかそうとする行為だ。さらに言えば審判をリスペクトしていないということだ」という理解。この言葉が、球審の脳裏に一瞬ひらめいたのだろう。
 日本学生野球憲章の序文に「学生野球としては・・・試合を通じてフェアの精神を体得すること、・・・」と記されている。ミットを動かすことに対するペナルティーは特にない。フェアプレーの順守ということがあるだけである。

■国際ルールとして
 もう一つのエピソード。翌2008年の北京五輪での野球、相手はどこか忘れたが「侍JAPAN」の守備、2アウト2ストライク後の投球に対し、捕手城島は捕球後球審がジャッジする前に、ボールをマウンドの方へ転がして、ベンチへ下がってしまったケースがあった。ゲーム終了後JAPANの代表は、本部から「日本ではああいうことを許しているのか」(捕手が“勝手”にストライクと判断)と厳しく叱責されたという。これも「選手は審判をリスペクトしなければならない」という精神が、野球というスポーツの中で脈々と生きている証である。この五輪で、星野JAPANは優勝を逃し、メダルもとれず4位に終わる。
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 写真は「米NFLの名門ダラス・カウボーイズのホームグラウンド。米テキサス州フォートワースの娘の任地を3月に訪問した際、娘が案内してくれ、グラウンドで記念撮影したもの。ちなみにこのNFLのグラウンドのはす向かいにダルビッシュ・有が活躍したテキサス・レンジャーズのホームグラウンドがあります。もちろんここも見学してきました。



2018年10月24日配信


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