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トップページ > 経営倫理情報 > ニュースダイナミクス > 2018年10月30日配信記事

  神奈川労働局主催による「高年齢者雇用セミナー」
     〜生涯現役社会の実現に向けて〜

生涯現役社会の実現に向けて、神奈川労働局主催の「高年齢者雇用セミナー」が10月17日、横浜市の関内ホールで開催された。わが国の社会課題である、労働力人口の減少の対策の一つとして、高年齢者が生涯現役で活躍する社会の実現が期待されている。セミナーでは高年齢者が生き生きと活躍している企業3社が、自社のユニークな取り組みを発表した。
 

重要な戦力として活躍している3社が発表

セミナーの基調講演は、株式会社ポーラ・オルビスホールディングスの藤井彰氏(財務・法務総務・広報・IR・CSR担当取締役)、企業事例は、紙製パッケージの企画製造業者の株式会社豊受(本社・川崎市)水越大輔氏(取締役社長)と、株式会社八景島・福田光胤氏(人事部長)がそれぞれ発表した。
 

 基調講演で年齢上限なしのビューティーディレクターについて語る藤井彰氏

■エイジレス「ビューティーディレクター」の美しい働き方
 株式会社ポーラ・オルビスホールディングスの藤井氏は、「”限界は自分で決める” エイジレスで美しい働き方」というタイトルで、生涯現役で活躍する美容スタッフ「ビューティーディレクター」(以下BD)を紹介。
 全国で約4万6千人(2017年末現在)いるBDの31%は60代以上で、このうち70歳以上は約8,300人。同社に雇用されておらず、同社製品の「委託販売契約」を結んだ個人事業主という位置づけ。同社はBDの店舗への化粧品貸し出しや、カウンセリングとエステの研修、資質に応じたリーダー研修などを提供する一方で、同業他社との比較では人件費や宣伝広告費を大きく抑えることができているとしている。
 同社は、BDを通じてユーザーすべてのスキンチェックを行い科学分析した上で、セミオーダーのサンプルを提供する仕組みを取っている。担当BDは、その後長年にわたって同じ顧客を担当するのが一般的であるという。自分自身の外観も内面も磨きながら「人を美しくする仕事」で、長年顧客から頼りにされることが、モチベーションアップにもなっている。
 個人事業主であるため定年はない。長年働き続けられる理由は、フレキシブルな働き方が可能であることなどさまざまあるが、多くのBDが顧客に頼りにされ喜んでもらいながら、自分のライフスタイルに合わせて主体的に働けることを理由に挙げている。同社は、本社従業員に対しても、2018年7月に「定年再雇用の年齢上限撤廃」をスタートさせた。

■経験豊富な専門性の高い人材を重用して
 続いて、紙製パッケージの企画製造で株式会社豊受(本社・川崎市)の事例。従業員の約20%が60歳以上の社員で構成される。皆総じて労働意欲が高いという。水越大輔氏は、高年齢人材の中から、現在69歳、印刷業界45年のベテラン工場長に焦点を当て、日々の活躍の模様を紹介。年齢にかかわらず、豊かな経験と技術を有した人材を重用することのメリットを強調した。
 最後に、株式会社横浜八景島(本社・横浜市)の福田光胤氏は、今年度新たに4人の65歳以上の人材を雇用した背景を説明した。同社の従業員の平均年齢は、アルバイトなどを含めて33歳と若く、経験値は全体的に低いため、専門性の高い人材の確保が課題であるとしている。現在65歳以上の人材は、同社の課題解決の中心的な担い手になっている。
 わが国最大級のテーマ別4つの水族館で構成される八景島シーパラダイスを中心に、海の動物たちのアミューズメント施設を運営する同社にとって、飼育に関する専門知識をはじめ、警備や食品衛生などを専門とする人材は欠かせない。他企業で、それぞれの分野で定年まで勤務した専門性を有するOBを採用し、若手社員の指導や支援を依頼している。
 一方で、高年齢者雇用の注意点として、健康に一層配慮した労働環境の必要性、若手世代との感覚の相違から生まれる摩擦の問題に対する対策を指摘した。高年齢従業員には、若手アルバイトにはない能力発揮が期待されている。それを実践してもらうためには、企業側が、事前に何を指導し、手伝ってほしいかをしっかり要請する必要があると説明した。
 

■現場を強くする課題で活発な議論
 続くパネルディスカッションでは、青木英人氏(中小企業診断士、65歳超雇用推進プランナー)がコーディネーターとして、パネリストとして、水越大輔氏、福田光胤氏に加え島崎浩一氏(65歳超雇用推進プランナー)、山岸裕次氏(川崎北公共職業安定所 高齢者対策担当雇用指導官)をパネリストに、「高年齢者の活躍が現場を強くする」と題して健康管理やモチベーションの維持などのさまざまな課題に対して、活発な討議を行った=写真右。
 

高年齢者雇用安定法(2013年4月施行)により、企業は従業員が希望すれば65歳まで働ける仕組みを整備することが義務付けられている。このような中で、各企業は、高年齢者の戦力化をより一層図ることが求められている。
  


2018年10月30日配信

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