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  「グラミン日本」が9月スタート
   貧困層などへの支援浸透に注目

■グラミン銀行、創設者ユヌス博士と共にノーベル賞
 グラミン銀行は無担保・少額融資で貧困者が生活困窮から脱却・自立するのを支援する 活動を目的とし、1983 年にバングラデシュで創設された。同銀行は創設者のムハマド・ユ ヌス博士と共に、2006 年ノーベル平和賞受賞。 「グラミン日本」がスタートした 9 月 13 日、 日本記者クラブ(東京都千代田区内幸町)で理事長の菅正広氏(明治学院大学教授)らが 会見した。
 

 会見する百野公裕グラミン日本理事・COO(右)と菅正広グラミン日本理事長(明治学院大学教授)
 =9月13日、日本記者クラブ(写真は同クラブ提供)

貧困層などの5人一組のグループ融資というユニークな手法で連帯責任のスキームのもと、借りたお金を返済する。現在、借り手の97%は女性で、貧困・生活困窮者に無担保で融資を行い、ほとんど貸し倒れのない実績を上げているという。すでに一定の実績を上げたとはいうものの、この相互グループ融資方式が日本で着実に定着浸透するかが注目されている。記者会見では、厚生労働省調査による日本国民の貧困状況などを説明。日本国民の15.7%、6人に1人の約2000万人が貧困ライン以下で生活している(2015年)と指摘。グラミン日本の活動に期待してほしいと強調した。
 「グラミン日本」の理念は、@貧困のない、だれもが活き活きと生きられる社会A生業的な起業(プチ起業/小商い)が普通にできる社会B地域・コミュニティーがお互いに助け合い、共感のある社会―などを挙げている。これらの理念の基本はユヌス・ソーシャルビジネス7原則に基づいている。@利益の最大化ではなく、社会問題の解決こそが目的であることA財務的に持続可能であることB投資家は投資額を回収するが、それ以上の配当は分配されないことC投資額以上の利益はソーシャルビジネスの拡大や改善に使うことD環境へ配慮すること――などが基本となっている。
  

■設立会見にはメディアの取材が集中
 グラミン銀行の日本版設立の発表で、メディア関係者が集まり活気を帯びた当日の日本記者クラブでの会見は、終了予定時間になっても質問が終わらなかった=写真右。このため同クラブ事務局では急ぎ会場を別の場所に移動するなど、異例の会見延長となり、関心度の高さが伺われた。グラミン銀行の日本版設立は、日本でも経済格差の拡大が問題視され始めた時だけに、今後注目を集めそうだ。
 

バンカ・エチカ(倫理銀行)はイタリアで着実な実績

収益性だけを追求するのではなく、融資を通じて社会によりよい影響を及ぼす新しいビジネスモデルの銀行がイタリアでも着実な実績を挙げている。
 「バンカ・エチカ(倫理銀行)」は1999年に創設され、北部パドバに本店を置く。「公平で持続可能な社会づくりへの貢献」を理念に掲げ、従業員は約300人でイタリアとスペインで活動している。融資先は社会活動を手掛ける非営利団体や協同組合が多い。
 現在、イタリアではアフリカなどから多数の難民が流入。この受け入れが社会問題、政治問題化している。バンカ・エチカはこれら難民に働く場をつくる団体にも融資しているという。
 朝日新聞GLOBE+7月9日付の特集でバンカ・エチカの活動を紹介している。利用者のコメントとして、「今まで担保が十分でないと拒否されることが多かった。バンカ・エチカは事業の内容で評価してくれるところがありがたい」と話している。バンカ・エチカは非営利団体などを中心に資金を貸し出しているが、経営内容は安定している。
 同紙では、融資判断の仕組みと融資の透明さが重要であるとみている。ホームページで融資内容などを公開。また、同銀行のホームページでは法人向け融資について、名前、活動内容、融資の金額などの詳細についても公開している。イタリアは大型不況に見舞われただけに、金融機関に対する不信感を含め関心は高いが、バンカ・エチカの活動理念に共鳴する市民らから預金が集まり、その額も増加しているようだ。
  


2018年10月19日配信

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