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ウィッツ青山学園高校の就学支援金詐欺にメス
   14年度1億5700万円 東京地検が元監査役を起訴

 ウィッツ青山学園高校(三重県伊賀市)を巡る就学支援金の不正受給事件で、東京地検特捜部は2016年10月、 同校の運営会社「ウィッツ」(同)の元監査役・馬場正彦容疑者(56)を詐欺罪で東京地裁に起訴した。 受給資格のない高校既卒者や就学実態のない生徒ら計14人について、14年度分の就学支援金の交付を申請し、 国から計約251万円をだまし取った疑い。

 14人は広域通信制課程の生徒で、いずれも同校のサポート校の一つ「四谷LETSキャンパス」 (東京都千代田区、廃止)に所属。同キャンパスの実質的な経営者だった馬場容疑者は、幹部の男性2人とともに 「在籍するだけで何もしなくていい」などと言って、生徒を勧誘していたという。 男性2人は関与が従属的だったとして不起訴(起訴猶予)になった。

 単位認定のための「スクーリング」もずさんで、校長の講話と記念写真の撮影だけで済ませたこともあったという。 また、スクーリングの一環としてテーマパークのUSJ(大阪市此花区)を訪れ、パーク内で買い物をした際の釣り銭計算を「数学」、 移動中のバス車内での映画鑑賞を「英語」と「国語」、神戸での夜景見物を「芸術」の単位にカウントしていたとされる。

 馬場容疑者がだまし取った疑いを持たれている就学支援金は、私立高校や専門学校を対象に10年度から始まった。 公立高校の授業料無償化とセットで、希望に沿った進路選択を可能にするのが目的。生徒の世帯年収に応じて、 国から都道府県を通じて学校に支給され、生徒の授業料負担がその分軽減される仕組みになっている。 金額は1人あたり年間最大30万円。

 高校既卒者や在学期間が通算3年(定時制・通信制は4年)を超える生徒は交付の対象外。 それ以外の中途退学者も、高校在学期間に応じて支援金の受給期間が短縮される。このため、 交付申請に際し、過去の在学歴の記載が義務付けられているが、四谷LETSキャンパスでは一部の生徒について記載せず、 ウィッツ高を通じて三重県に提出していた。

 馬場容疑者は逮捕前、報道各社の取材に対し、「制度をよく理解しておらず、反省している。 法を犯したつもりは全くない」と述べ、故意を否定した。 しかし、「既卒者でもいい」と周囲に生徒の紹介を持ちかけていたとの証言もあり、説得力に欠ける。 ウィッツ高の生徒は14年度で約1160人、支援金の受給額は約1億5700万円に上った。

 ウィッツは12年5月、親会社の東証2部上場企業である東理ホールディングス(東京都中央区)と経営コンサルティング契約を結び、 経営指導料として、毎月100万円を支出。生徒の増加に比例するように、指導料は段階的に値上げされ、15年4月には月700万円になった。 東京地検特捜部は、指導料の負担が馬場容疑者を不正受給に駆り立てた可能性があると見ている。

 就学支援金詐欺は、教育を隠れみのにして公金を食い物にする悪質な犯行だ。不正受給がまかり通れば、学ぶ意欲があるのに、 経済的な事情などで進学が困難な生徒に教育の機会を保障するという「制度の根幹」が揺らぐ。高校を所管する自治体には、 受給申請の審査の厳格化とともに、教育内容の把握などにも力を入れ、必要なら指導・監督を強化することが求められている。

2016年12月01日配信

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