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日本経営倫理士協会 20周年記念講演会概要

講師の北城恪太郎氏

 経営倫理士協会(ACBEE JAPAN)が発足して20周年。これを記念して2016年4月6日、プレスセンター・ホールで、「記念講演会」と「記念の集い」が開かれた。「記念講演会」は、北城恪太郎氏(日本アイ・ビー・エム株式会社相談役・公益社団法人経済同友会終身幹事)による特別講演。テーマは「企業の社会的責任と経営者の倫理観」。  

「記念講演会」には、第1期〜19期の経営倫理士をはじめ多くの関係者が参集し、熱心な聴講に加え活発な質疑応答が交わされた。「記念講演会」の後、引き続き行われた「記念の集い」では、リラックスしたムードの中で経営倫理の現状についての情報交換と未来へ向けての抱負が熱く語られ、交流を深める貴重な場となった。

●講演概要

 経営者の倫理というのは大変重要な課題だ。最近は、社員の不祥事だけではなく経営者も関与した不祥事が起きている。本日は、経営者の倫理観と共に企業の社会的責任について、私の感じるところをお伝えしたい。

[企業の存在意義と社会的責任(CSR)]

■ コーポレート・ガバナンスは企業経営の根幹

 企業は経済活動を最も効率よく実行する組織であり、人々の生活を豊かにし幸せにするために存在している。この企業の経営者の役割は、中長期の時価総額(株価×株数)を最大化することである。企業が持続的に成長するためには、社会から見て好ましい経営をしなければならない。そのためには、様々なステークホルダーにとってのバランスを考えながら、法令や倫理を遵守できる実効性のあるコーポレート・ガバナンスの仕組みを作らなければならない。

■ 独立した社外取締役の活用

 新会社法で、業務執行と経営監督を分けることができるようになったが、経営トップの選任と評価の仕組みが必要だ。この仕組みにおいて、独立した社外取締役が果たす役割は非常に重要である。株主の利益が中長期的に見て最大化するような倫理観の高い経営トップを選ばなければならないし、処遇も適正水準を決めなければならない。

■ ガバナンスの機関と役割

 監査委員会あるいは監査役がいてもなかなか不正を見つけることができないとすると、経営能力だけではなく高い倫理観をもった経営者を選ぶことが必要であり、これを行う指名委員会が非常に重要な役割を果たす。社外取締役は、健全な経営が行なわれているかどうか株主を代表して客観的な判断をし、内部統制がきちんとなされているかを見なければならない。また、ベンチャー企業においては、販売ルートの開拓や経営戦略構築へのアドバイスなど信用力と競争力強化も重要な役割である。

■ 取締役会の多様性の確保

 日本では社外取締役の役割として、経営者は経営への助言を期待している場合が多いが、株主は経営の監督を期待しているわけであり、大きなギャップがある。本来は、社外取締役は経営者を選んだり評価したりする立場にある。従って、取締役会はできるだけ多様性があった方がいい。社内の常識は社会の非常識ということもある。その会社や業界のことを知らなくても社会一般の常識をもっている人が参加し遠慮せず経営のプロとは違う視点からどんどん意見を言うことが大事だ。そうすることにより、取締役会の客観性と透明性を確保することができる。

■ 内部通報制度の健全な運用

 経営者が健全であっても内部で不正が起きているかもしれない。この不正を見つけ出す仕組みとして内部通報制度がある。この制度が健全に運用され、社員が信用して通報できる組織でなければ風通しのいい経営はできない。内部通報したことを理由として不利益を被らないような仕組みづくりが必要だ。

[リーダーに求められる経営倫理]

 経営者には経営能力のみならずインテグリティが必要だ。これは、誰もいないところでも正しいことをする正直さがあるということ。もう一つは謙虚さ。これは、常に組織のことを考えるということ。自分には不利になっても組織のために決断してきちんと部下を説得できるかどうかが求められている。また、経営者には底抜けに楽観的な性格が必要。いくらプレッシャーがあっても何とかなると思う人は大丈夫だ。何とかなると思えばアイデアが出てくる。ダメだと思ったとたんに次のアイデアが出てこなくなる。私は、会社で「明るく楽しく前向きに」を言い続けてきた。

[おわりに]

 コーポレート・ガバナンスが企業経営の根幹であり、そこには独立社外取締役が必要だ。その独立社外取締役が、経営能力のみならず高い倫理観を備えた経営者を選び続けることが重要。そして、皆さんのような経営倫理士が、経営倫理の重要性を社会に発信し続けることにより、健全な価値観をもった経営者が出てくることを期待したい。
 

特別講演のテーマは「企業の社会的責任と経営者の倫理観」
特別講演のテーマは「企業の社会的責任と
経営者の倫理観」
        
講演後の「記念の集い」は和やかな雰囲気で行われた     
講演後の「記念の集い」は和やかな雰囲気
で行われた
参加者から質問を受ける北城氏
参加者から質問を受ける北城氏
「記念の集い」で熱心に情報交換する参加者
「記念の集い」で熱心に情報交換する
参加者

2016年4月11日配信

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