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トップページ > 経営倫理情報 > ニュースダイナミクス > 2013年2月5日配信記事

第4回 日本経営倫理士協会(ACBEE)シンポジウム
強い関心集める「働く女性」のあり方、幅広い視点で考える

 日本経営倫理士協会(ACBEE)主催の第4回シンポジウムが1月25日、「ダイバーシティ、日本に定着したか」と題して、全理連ビル9階大ホール(渋谷区)で開催された。今回は特に、いま企業の重要な担い手として関心を集める「働く女性」のあり方についての問題を取り上げた。

 キーノートスピーチは、内閣府男女共同参画会議・女性に対する暴力撤廃専門調査会、国連・女性差別撤廃委員会などの委員を務めている弁護士・林陽子氏が行った。

 近年、日本企業での女性活用が進んでいない現状に対して、世界から疑念の声があがっている。それら「世界の声」に対し、林氏は日本の女性活用が進まない障害として、次の2点を指摘。

 @雇用政策(総合職にならないとキャリアが形成できない)
 A仕事と家庭の両立が困難

 「ジェンダー平等は経済成長をもたらす。もっと目標や期限を設定し、自主的に取り組む必要がある」と語った。

 国外からの指摘などを受けて、国内でも2011年10月より男女雇用均等法改正の審議が始まった。様々な改革への提言が出されている。林氏はこの閉塞状況を打破するには企業の「見える化」を進める必要があると説明。女性役員の登用情報、企業ごとの賃金格差、男性の育児休暇取得率などをありのまま開示し、現状を変えていく努力を行うべきだと力説した。

 一方で、企業の女性活用状況を公開することで、男女均等推進に積極的な優良企業に対しては、投資行動を促すべきだと強調。女性活用状況の項目を照会し、結果を点数化、入札の際加点する「ジェンダー入札」などの取り組みも考えていく必要があると語った。

 最後に「企業倫理のプログラムにおいて、女性の『活用』ではなく、『エンパワメント=力を付けていく』というイメージで取り組んで欲しい」と訴えた。

 続いて、官・学・民と、それぞれ異なる立場の3人によるパネリスト・スピーチが行われた。

 最初に、「官」の立場から、元内閣府男女共同参画局長の名取はにわ氏がスピーチを行った。現在、世界では多くの女性が社会で活躍しているのに対し、日本での女性の労働人口は減少している。その背景として、次の要因を挙げた。

 @第一子の出産を機に、働く女性の6割が退職
 A出産か仕事か、一つしか選べない
 B一度退職すると、再就職しても非正規労働で低収入になる
 C女性は高いポストにつきにくい

 さらに、男性上司が、女性部下に昇進を提案しても、それをサポートする会社の体制が整っておらず、女性のやる気を失わせる『負のスパイラル』が起きやすいことを指摘。働き方を根本的に改める必要性を訴えた。

 2人目は、「学」の立場から、実践女子大学教授で元日本経済新聞論説委員の鹿島敬氏がスピーチ。

 男女共同参画とダイバーシティは、どちらも「多様性の尊重」という意味で親戚関係にある。また、男女間の社会的状況の格差や、根強い社会構造的な差別の存在などにも触れ、機会の平等は「形式的な平等」にすぎないと指摘。

 ポジティブ・アクションの一つ、組織内の重要ポストの一定数を女性に割り当てる『クォータ制』の導入が議論されたが、日本では難しい。法律や、参入規制など多くの規制が立ちはだかると説明した。

 最後に、「民」の立場から資生堂執行役員のアキレス美知子氏。

 「女性が経営に参画する5つの利点」を挙げ、女性が社会で活躍することで経済に良い影響を与えると強調。「多様な角度で議論し、最終決定を出せば、ガバナンスの質が高まる。女性を意思決定ボードに入れることで、経営のやり方を変革していくという発想をしてもらいたい」と語った。

 後半はパネルディスカッションが行われ、林氏とパネリスト3人が会場からの質問に回答しながら、意見を交わした。「クォータ制導入の影響」や、「女性のキャリア教育」などに関する鋭い質問が寄せられ、それぞれ4氏の経験や考え方をもとに回答。会場は大いに盛り上がった。

 今回のシンポジウムのテーマは、経営倫理士12人で構成されるACBEE総合企画委員会が検討、実現した。昨年夏、経済活動を促す「なでしこ大作戦」が打ち出され、タイムリーと判断。国際的視野でこの分野に精通し、政府の福島原発事故調査委員会のメンバーでもあった林氏を基調講演に招くことなどを決めた。

 このテーマへの関心は高く、当日は約100人が参加。企画委員はテーマ選定後も開催日までの準備、当日の会場設営や進行などの裏方として、このイベントを支えた。

2013年02月05日配信


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