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「データ偽装関連」へ厳しい指摘、続く
<2017年「企業不祥事ワースト10」アンケート>

2017年・経営倫理動向調査アンケート(ワースト10)が、まとまり発表された。同動向調査は2010年から始まり、毎年始にアンケートを実施。2017年まで連続8回目。いわば「年間企業ワースト10」。調査対象が経営倫理士(2017年末現在629人)に限定しているため、専門家集団による動向把握ができると、信頼性も高い。アンケート集計結果はACBEEホームページ上の「経営倫理フォーラム」に掲載(3月末、予定)。さらにACBEE出版物「MOOK」に掲載。MOOKでは総合的に企業不祥事動向を調査・分析、課題究明リポートなどを解説している。


表:2017年・経営倫理重要ニュース回答件数上位12件

順位 組織名・企業名    内  容                回答数
神戸製鋼所
アルミ製品など、一連の性能データ改ざん
37
日産自動車ほか大手自動車数社
無資格検査員による安全性チェック
35
森友学園・加計学園
「モリ・カケ」疑惑をめぐり国会で追及
8
てるみくらぶ
負債総額151億円を抱え倒産
8
バイエル薬品
患者カルテ無断閲覧・85件の副作用報告漏れ
6
大手ゼネコン4社
リニア新幹線工事をめぐる談合疑惑
6
格安航空会社バニラ・エア
車いす利用者に対する対応
6
商工組合中央金庫
組織ぐるみの不正融資
6
DeNA
記事・画像の盗用、著作権侵害など
6
10
東レ子会社ほか
検査データ改ざん
4
10
タカタ
欠陥エアバック問題で民事再生法の適用を申請
4
10
NHK
長時間労働による記者の過労死
4

世界的なシェアを誇る日本メーカーのデータ偽装関連がトップ10中3件挙がった。なお、トップ10にはランクインしなかったが、スバルの無資格者による完成検査や三菱マテリアル3子会社の品質データ改ざんにも厳しい指摘があった。本年度は大手製造業による品質管理に関わるデータ不正の不祥事が相次いだのが特徴。
 日本製品は、品質の高さから「日本ブランド」として広く定評を得てきた中、国際的にもその評判や信頼が大きく傷ついた事態であった。また組織ぐるみで長年にわたり行われていた不正に対し、日本の大手製造業のマネジメントの在り方にも不信感も広がっている。一時期、企業側トップは、「安全性には問題がない」と説明したが、ガバナンス欠如、企業倫理観とずれていることに批判が高まっている。
 昨今、職場における「パワハラ」という言葉が頻繁に用いられる。これはパワーハラスメントの略称であり、「同じ職場で働くものに対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」(*1)を指すという。データ改ざんや不正融資など多くの不祥事の原因は、当事者らが故意に行った倫理違反行為だが、本人の私欲のためだけとは言えない。幹部側が業務目標達成のために、現場社員に過剰な圧力をかけていることが原因となっているケースが少なくないといわれる。
 また、インターネットに関連する不祥事も目立つ。DeNAの記事・画像の盗用、著作権の問題といったキュレーションサイトの管理問題が5位であった。10位の東レのケースは、インターネットの書き込みが公表のきっかけとなったことも話題となった。

(*1) 金子雅臣(2009)『パワーハラスメントなぜ起こる?どう防ぐ?』による定義より。

アンケート回答の中のコメントでは、経営倫理士らの厳しい指摘があった。
(*文中カッコ内は、性別、年代、業種、所属・役職)

▼神戸製鋼 性能データ改ざん=10年以上前から繰り返しのデータ改ざんであり、根本原因が未解決のまま繰り返された不祥事であった。第一報の会見から10日あまりで4回の会見が行われ、改ざんが複数の部署にわたり長期間行われていた組織の体質が露呈された。納入先は国内外500社以上にもなる。原因として「経営トップのコスト削減の掛け声による、現場のプレッシャー」(男性、50代、機械、管理者)。また、「品質管理、品質保証部というセクションは、企業において成果(利益)をもたらしているという認識は、ほとんどないのではないか。そういう認識がなくならない限り防止できない」(男性、50代、その他、管理者)。防止策として、「経営トップがコンプライアンスは絶対であることを認識すること。それを従業員に徹底すること」(男性、50代、化学、管理者)。「組織を縦割り・肥大化しすぎない」(男性、50代、電気ガス、役員)。「組織を超えた異動」(女性、20代、電気ガス、担当者)。その他、内部統制の内部通報制度の拡充、など多数。

▼大手ゼネコン4社 リニア新幹線工事をめぐる談合疑惑=「グローバルに競争法違反の摘発が進む中、日本を代表する土木・建築企業が、未だに大掛かりな談合を行っていた。リニエンシーの導入で経営レベルでは談合は割に合わないと認識されていたはずなのに、現場レベルではそれが共有されていなかったのか」(男性、50代、食料品、役員)、「本気で談合を撲滅しようという意識がないと思われる」(男性、50代、機械、管理者)といった企業に対する厳しい声とともに、「企業側も利益捻出のための事前調整を余儀なくされるという局面もあると思われるため、委託側も市場の適正価格での入札当に配慮する必要もあるのではないか」(男性、50代、その他、役員)といった当該企業を取り巻く外部環境に対するコメントもあった。

▼DeNA 記事・画像の盗用、著作権侵害など=「運営する側の企業の法的な責任範囲が不明確な中で、社会的な批判が大きくなされた」(女性、50代、電気ガス、担当者)。「第三者の著作権侵害はもとより、全くの事実無根な情報を掲載し、一般消費者を惑わせた事例であった。一般消費者が自分で情報を見極めるスキルを構築するのは重要だが、媒体として信頼に足る情報を提供する責任がある」(女性、50代、卸売・小売業、管理者)。「企業の業績拡大、収益を最優先にする限り、業種に限らずに発生する示威案と言える。企業にとって間接的な収入源となる情報が不良品であるとの認識に欠ける」(男性、60代、その他、管理者)。


年間不祥事アンケートワースト10は毎年3月末にまとまり、連続8年実施されている。毎回、ACBEE・MOOKでは8年分のアンケートを掲載、総合的に企業不祥事の発生状況を分析、課題追求などについて記載。日本経営倫理士協会による専門的な調査・研究データの成果として、「MOOK」版で出版されている。
 企業不祥事データは、資料収集が難しく希少価値が高い。一方、各企業、調査機関では教育・研修等の際に、具体的事件を参考にする傾向が強まっており、ACBEE・MOOK「企業不祥事一覧(8年分)」を参考にするケースが多い。(ACBEE・MOOK 購読のみ1部800円、購読・データ使用5,000円、ACBEEへ問い合わせを)


2018年03月08日配信

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