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経団連、初のLGBT対応の調査
  企業の4割で取り組み始まる

経団連(日本経済団体連合会)が5月、LGBTに対応する企業の取り組み状況を調査、発表した。経団連としてLGBTに関して初の調査。経団連会員企業を対象にした調査(3月実施)で、全体の15%にあたる233社からの回答を得た。LGBTの人たちが働きやすくするための取り組みをしている大手企業は、全体のおよそ4割に上っている。
 発表は、提言・報告として、「ダイバーシティ・インクルージョン社会の実現に向けて」。提言では、ダイバーシティ(多様性)・インクルージョン(包摂)の重要性、LGBTに関する動向と取り組みの方向性を柱に記述。提言に付ける形で、「LGBTに関するアンケート」調査結果が報告されている。

 「LGBT」はレズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(心と身体の性の不一致を感じている人々)の頭文字をとったもので、性的思考や性自認などに関して社会的にマイノリティ(少数者)と位置づけられている人々を指す。日本人の約7.6%がLGBTに該当するという調査もあるが、これは血液型がAB型、あるいは左利きである日本人の割合と、ほぼ同じであると言われている。LGBTであるかどうかは、見た目では判別できないため、本人のカミングアウト無しにその存在を認識することは通常困難である。本人のカミングアウトの有無にかかわらず、目に見えないマイノリティであるLGBTを「身近な存在」として、周囲が進んで理解するとともに、「多様な存在」として社会が認識・受容し得る社会を構築していく必要がある。

■社内セミナーや相談窓口の新設など

アンケート調査結果を見てみると―。
質問「LGBTに関して、企業による取り組みは必要だと思うか」については、90%以上の企業が「LGBTへの取り組みの必要性を認識」と回答している。
 「LGBTに関して、何らかの取り組みを実施しているか」という質問については、4分の3の企業が「既にLGBTに関して何らかの取り組みを実施または検討」と回答。
 さらに踏み込んで回答状況を見ると、「既に実施」が42%、「検討中」が34%となっている。取り組みの内容としては、@社内セミナー等の開催(91.8%)、ALGBTの社員に向けた社内相談窓口の設置(82.8%)、B採用活動におけるLGBTへの配慮(65.7%)―が主なケース(複数回答)。この他、性別を問われないトイレなど職場環境の整備、社員向け人事制度の改定、LGBTに関連する社外イベントへの協力、LGBTに配慮した商品・サービスの開発などがあがっている。
 また、「LGBTに関する取り組みを進めるにあたり、必要な法整備・支援などについての主な要望」として、LGBTへの社会全体の理解促進に向けた啓発・広報活動、LGBTに関する適切な理解や取り組みについての情報発信、さらにLGBTに関する取り組み事例や対応についてのガイドラインの策定、ジェンダーレスのトイレ・更衣室などの企業内設置に対する助成などが寄せられている。


ACBEEでも昨年度、特別シンポジウム
  職場でのLGBT対応について議論


活発な発言が続いたACBEE特別シンポジウム「LGBTと企業の対応」(2016年7月)

ACBEE(日本経営倫理士協会)では、2016年7月22日、特別シンポジウム「LGBTと企業の対応」を開催している。ほぼ1年前のイベントだったが、LGBTに関心が出始めていた時期だけに注目された。LGBTに関しては、@生活の場でのあり方と、A働く場での課題の二つに大別できるが、同シンポジウムでは、「働く場で…」に絞って、「企業の対応」のあり方をテーマに取り上げた。
 第1部パネラー講演には、NPO法人グッド・エイジング・エールズ代表の松中権氏、日本アイ・ビー・エムの人事・ダイバーシティ担当・梅田恵氏、弁護士・寺原真希子氏(東京表参道法律事務所)の3人。第2部パネルディスカッションでは、ACBEE理事・村松邦子氏、特定社会保険労務士・舘野聡子氏(いずれも経営倫理士)が、それぞれコーディネーター、アドバイザーとして参加、活発な議論が続いた。

■人間が生み出すさまざまな価値観

差別意識について語る寺原弁護士

松中氏は「職場で働く当事者を抱える企業が、いかに職場環境を見える形にしていくかが大きな課題」。また、梅田氏は「人間が生み出すさまざまな価値観こそIBMの競争力の原点。LGBTの社員が自分らしく安心して働ける環境づくりを推進している」などと話した。
 また、寺原氏は、「LGBTを取り巻く環境として日本社会に深く根付いている差別意識がある。LGBTの若者の約7割がいじめや暴力を受けた経験を訴えた調査結果がある」などと解説した。さらに舘野氏からは「東京・渋谷区が発行した『パートナー証明書』に関連して、企業の人事担当者から、この証明書の有効性について迷っている―という相談を受けた」という報告もあった。

このシンポジウムは、LGBTが企業という組織内で、働く場の切実な問題として浮上し始めた時機に開催されただけに、ACBEEによる敏速な情報発信、問題提起は注目された。今回の経団連による提言・報告とも関連して、企業が取り組む重要な視点、方向性を打ち出した。

   LGBT対応の研修などに講師派遣
 日本経営倫理士協会(ACBEE JAPAN)では、LGBT関連の社内研修、相談窓口、採用活動、社内規定改定などについて、講師派遣、コンサルティングを行っています。ぜひ、ご相談ください。

2017年6月18日配信

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