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企業・組織の経営倫理を推進する人材を育成・支援するNPO法人

トップページ > 経営倫理情報 > あの日、あの時…経営倫理士講座 > 2013年3月25日配信記事

東日本大震災発生の年に受講した重み
  業務のバックボーンとなっている「資格」

横河電機株式会社
企業倫理本部
経営倫理士(第15期)安藤達矢さん

 2011年3月11日、私たちが生涯忘れることの出来ない東日本大震災が発生しました。震災による死者・行方不明者は約2万人、震災発生後2年が過ぎた今もなお30万人を超える避難者が存在しているという未曾有の災害でしたが、私は、この大震災が発生した年に実施された「第15期経営倫理士取得講座」を受講しました。

 講座は予定通り5月上旬よりスタートしましたが、このことから第15期講座では「危機対応」がテーマとして色濃く打ち出され、約5ヶ月間にわたる本講座は、谷口学・共同通信論説委員による緊急特別講座「大震災と産業界の底力」で幕を開けました。また、当初から予定されていた各講座においても、各講師から大震災に関するミニプレゼンテーションが内容に組み込まれました。

 「経営倫理士取得講座」の中で「危機対応」は従来から重要科目の一つとなっているわけですが、東日本大震災発生直後というタイミングで実施された第15期講座では、従来以上にリスク対応、クライシス管理に関するレクチャー強化が図られ、各講師のそれぞれの立場での見識とご経験に基づく講義から、私たち受講生は東日本大震災を教訓としての、特に危機を未然に防ぐためのリスク管理の重要性と、いざ危機が起こった時に的確に機能するクライシス対応の本来の在り方について、「決して他人事ではないんだ」という強烈な印象とともに学ぶことが出来ました。

■レポート執筆の実績は、自分の業務に活かせた

 今、振り返りますと、本講座を受講して得られた財産は、こうした「危機管理」に関する自分自身への意識付けと、これまでの私自身の企業倫理・経営倫理に対する知識・ノウハウの整理です。

 企業人が「経営倫理士取得講座」を受講する際、新任担当者が企業倫理・経営倫理の一通りの知識を体系的に身に付けたいと考えるケースと、実務経験者がさらなるステップアップを目指し、より広範囲の知識と実践のためのノウハウを修得したいと考えるケースの2通りがあると思いますが、私の場合は後者が該当します。特に2回の課題レポート提出を通じて、過去自身が経験した事象、蓄積した知識を如何に今後の業務に役立たせていくのかを考えるまたとない機会になりました。

 私の「経営倫理士取得講座」受講のきっかけは、前年に本講座を受講した当時の上司の勧めでありましたが、今でこそ言えますが、本講座の受講にあたっての自身の最大の懸念はこのレポート提出でした。勤務先でのコンプライアンス推進に関する活動、および不定期に舞い込むコンプライアンス関連の通報・相談への対応などの業務に従事する中、約5ヶ月間で19テーマの講座を受講した上に2回のレポートを提出しなければならないというのは、気持ちの上で大きな負担であり、「何とかレポート提出を免れることは出来ないか」というふしだらな考えを持っていたのが事実です。

 実際に提示されたテーマは、大変抽象的な印象でありましたが、抽象的なテーマであった故にそれまでの自分自身の知識と経験を総動員させ、「この時はこう対処した」、「あの時はこう考えた」など机上の空論ではない観点でレポートを書き進めることになり、これが結果的に自分自身が今後の業務にどう向き合っていくべきかという整理につながりました。

■受講生同士の交流で、強く触発されるケースも…

 講座受講によりもう一つ得難い財産となったのが、他の受講生の方々とのネットワークです。第15期講座は、私を含め35名の方が受講されましたが、正に多士済済の顔ぶれで、私のように企業のCSR・コンプライアンス部門から参加された方、個人で倫理関係の事務所を開設しておられる方、あるいは現在学生としてあらためて経営倫理を学び直そうとの思いから受講された方、など様々な経歴の方で構成されていました。企業に在籍し、同じ業務に従事している方との交流の機会は間々ありますが、個人として経営倫理に関わる方と、特に一定期間開催される講座をご一緒する機会は滅多になく、夫々が身を置いている環境からのものの見方や対処の仕方にハッとさせられることもありました。

 講座修了後も同期の方々との交流は続いており、2012年3月1日に開催されたACBEE第3回シンポジウムの終了後、第14期・第15期のメンバー合同の懇親会が企画され、本会に参加させていただいたことでネットワークはさらに拡大しました。また、本業の部分でも、勤務先でコンプライアンス関連テーマのガイドラインを作成することになり同期の方々に情報提供をお願いしたところ、何名かの方が自社の取組状況についての情報を提供してくださり、ある方はわざわざ社内ご担当者との橋渡しまでしてくださって、直接お話をお伺いする機会まで頂戴できました。1回限りの講座・セミナーでは、なかなかこのような人脈形成は出来ませんが、半年近くの長きにわたり同じ場所で共に学んだからこそ構築できた、自分にとっての大きな財産だと感謝しております。

 私は、現在も勤務先において、前述のコンプライアンス推進に関する活動、コンプライアンス関連の通報・相談への対応などの業務に従事しております。正直言ってコンプライアンスに関する活動に時間を費やすことは、社員からはあまり歓迎されません。このため、社員にいかに他人事ではなく自分のこととして活動に前向きに取り組んでもらうかが担当者の腕の見せ所になります。「企業倫理・経営倫理に関しては社内の誰よりも多くの知識と経験を有しているという自信を持ち」、「今、社員に伝えるべきこと、伝えたいことは何かを考え」、そしてそれを「手を変え品を変え工夫を凝らして伝えること」を日々心掛け業務に取り組んでおりますが、このバックボーンとなっているのが「経営倫理士取得講座」受講で得た一連の知識・ノウハウと人脈だと言えます。

2013年03月25日配信


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