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トップページ > 経営倫理情報 > あの日、あの時…経営倫理士講座 > 2013年1月10日配信記事

「経営倫理を公務員研修に活かす」強い意志…、無欠席で…学ぶ
  コンプライアンス研修担当として、私のバックボーンになった

宮崎県自治学院
経営倫理士(第14期)戸栄作さん

 知り合いの大学の先生から、第14期経営倫理士取得講座の受講ガイドが送られてきたのは平成21年12月のことでした。私は、この年の3月に宮崎県庁を定年退職し、4月からは身分は県職員のままで、宮崎県職員研修所(宮崎県自治学院と称しています)において、コンプライアンス研修講師として勤め始めたところでした。コンプライアンスの研修をどう進めたらよいか、手探りの状態が続いていました。経営倫理士という聞き慣れない言葉に少しとまどいましたが、受講ガイドを読んで強く受講意欲が湧いてきました。しかし、年間13回の講座に果たして、「宮崎から受講できるだろうか。卒業はできるだろうか。」「公務員への研修に役立つだろうか」など不安が生じました。

 そこで、思い切って経営倫理士協会へ電話を入れました。千賀専務から「これまで九州からの受講者はありませんでしたし、公務員の方もいませんでしたが、是非受講してください。必ずやお役に立つと思います。」との言葉で受講を決意しました。そして、職場の上司や妻にも相談の上、休暇を活用し自費で受講することとしました。受講に当たっては、「体調に注意し、全講座へ出席する」「不明な点は積極的に講師に質問する」「経営倫理を公務員研修に活かす」「同じ受講者とのネットワークを広げる」の4点を心に誓いました。

 お陰で、無欠席で受講することができました。ほとんどの講義で疑問点は質問し、講師の方には丁寧にお答えをいただきました。今思うと、毎回毎回が新しい発見でした。当時の研修ノートを開くと、講座の一コマ一コマが浮かんできます。この講座を通して経営倫理の意味とその重要性を学び、県職員等への研修に十分に活かせることを実感いたしました。

 特に、辛島理事長の「法律は最低限の道徳」「性善説や性悪説があるが、性弱説が正しい」などの講義内容は、私のコンプライアンス研修のバックボーンとなっています。また、受講期間中には同期の東京ガスの北野さんにお願いして、東京ガス本社を訪問させていただきました。会社のコンプライアンス推進状況をお聞きし、大変勉強になりました。

■残念…、大震災で宮崎の特別視察研修が中止に

 当時の思い出として、ただ一つ残念なことがあります。それは、卒業後の「経営倫理士14期研究会in宮崎」が実現できなかったことです。講座も修了し面接の頃、同期の関西電力の北村さんの発案で、当時口蹄疫や鳥インフルエンザで大きな被害を受けた宮崎県を応援しようとの話しが持ち上がりました。北村さんや同期会の川島会長(ポーラ・オルビスホールディングス)を中心に実行委員会まで立ち上げていただき、平成22年4月には宮崎で実施する手はずとなっていました。私の方も、会場や講師の手配、観光ルートの設定など準備を進めていましたが、3月11日の東日本大震災の影響で実現できませんでした。大変残念でしたが、14期の皆様の思いには今でも感謝しています。

 宮崎県は、平成18年に発覚した県官製談合事件や平成19年に発覚した不適正な事務処理事件(いわゆる裏金事件)で県民の不信を招くと同時に大混乱しました。この反省に立って、本県では各所属にコンプライアンスリーダー(本庁においては課長補佐、出先機関においては次長)を設置し、コンプライアンスの推進に力を入れています。私は、この「コンプライアンスリーダーに対する研修」をはじめ、「新規採用職員から新任課長までの階層ごとの研修」「各職場に出向いて行う出前研修」のコンプライアンス研修の講師を務めています。

■自信持って研修講師できるのは、経営倫理士講座のお陰

 昨年度は、これら県職員研修は53回1,659名に及びましたが、経営倫理士取得講座が大いに役に立っています。研修講師を始めた頃、研修後のアンケートに「講師は自信を持って話しをして欲しい」との意見がありました。曖昧な講師の言葉は、受講者に伝わらないことを痛感しました。

 今、ある程度自信を持って話しができるのは経営倫理士講座のお陰と感謝しています。経営倫理の講義は勿論ですが「女性と労働と人権」「公認会計士の業務と倫理」「社会貢献活動の現状と課題」など、講座を通してコンプライアンスとのつながりを勉強することができました。そして、経営倫理士講座で学んだことが、コンプライアンス研修の講師としての幅を広げてくれたと思っています。

 私の研修では、「望ましい組織風土づくり」を大きなテーマに掲げています。

 宮崎県で起きた過去の不詳事件は県庁の組織風土に大きな要因があったのではないか。そのため、@情報を共有できる組織風土をつくる、Aチェックするのが当たり前の組織風土をつくる、B安全の組織風土をつくる、C相手の人格を尊重する組織風土をつくるの4点を県職員に強く呼びかけています。これも、経営倫理士講座での岩倉先生や岡部先生の「組織文化」の話しが土台となっています。

■宮崎県職員以外に、民間団体や地元大学でも研修講義

 県職員以外にも、昨年度は民間団体や大学等で9回の研修を行いました。特に、地元大学の学生の方への研修講義は、今年も行いましたが印象に残っています。アンケート結果をみると「ただ法律を守るだけでなく、相手側に思いやりを持って行動することが大事だと思った」「もし、自分が就職したら職場で危機管理やコンプライアンスのことを一番に考えたい」等コンプライアンスに対する新たな認識を示す意見が多く見られました。今後も機会があれば、大学における学生の方へのコンプライアンス研修講義は、是非続けていきたいと考えています。

コンプライアンス研修で講演する戸栄作さん
コンプライアンス研修で講演する戸栄作さん

 思えば、私が宮崎県東京事務所長時代の平成18年11月に県の官製談合事件が発覚し、当時の知事をはじめ幹部職員が逮捕されました。東京でもその影響は大きく、本県のマイナスイメージが広がるとともに、県出身者の方から「恥ずかしくて宮崎県出身とは言えない」との声を聞きました。「二度と同じような不詳事件を起こしてはならない。そして、事件を決して、風化させてはならない。」そんな思いで、コンプライアンス研修の講師を始めました。現在の自治学院での研修講師は本年度までですが、初心を忘れず、今後も何らかの形で、経営倫理士講座で学んだことを広めていきたいと考えています。

2013年01月10日配信


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