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   宿命の対決「レオナルド×ミケランジェロ」展
       東京三菱一号館美術館で素描を中心に

「万能人」と呼ばれたレオナルド・ダ・ヴィンチ(1452〜1519)と「神のごとき」と称されたミケランジェロ・ブオナローティ(1475〜1564)。イタリア・ルネサンスを代表する2大天才は、生前からその才能を比較されていた。それは、フィレンツェ政庁舎が舞台の幻の壁画対決など、さまざまに伝えられている。

今回は、彼らの素描の比較を主眼とした展示で、東京・丸の内の三菱一号館美術館で開催中だ。日本初の試みとしても、大変興味深い。イタリアのサン・ヴィンチェンツ修道院付属聖堂が所蔵している彫刻作品《十字架を持つキリスト(ジュスティニアーニのキリスト)》も7月11日から出品されている。石の割れ目が、彫り進んでから顔に現れたために、ミケランジェロが制作を放棄し、17世紀の彫刻家が完成にこぎつけた美しい作品。素描が中心で、展示作品に派手さはあまりないが、超一流の描線を堪能できる絶好の機会といえる。

今展で特に注目を集めているのは、展示初めに見られる、レオナルドの「《少女の頭部》(《岩窟の聖母》の天使のための習作)」とミケランジェロの「《レダと白鳥》の頭部のための習作」の2大素描。レオナルドの同作は、「世界一美しい素描」という評価でも非常に有名。「絵画上の課題である画中の人物自らが示す『動きの感覚』を表す基本的原理を確立した」と指摘されている。《少女の頭部》は、フェルメールの《真珠の耳飾りの少女》のポーズにも影響がみられるという。

《レダと白鳥》の習作では、当時、しばしば行われていたように、この作品も女性を描いているのだが、男性がモデルとなっている。弟子のアントニオ・ミーニと推測される。ミーニが後に、同作の模倣作品を制作し、それから数々のヴァリアントや模写が生まれ、傑作群のルーツとなった。今日では《レダと白鳥》は美術でも非常に有名なテーマだ。

ミケランジェロは、フィレンツェの画家ギルランダイヨ(1448?〜1494)のもとで短い修行をした後、早くから才能を見出され、メディチ家の庭園で古代彫刻を模写するなどの一流の教育を受けた。他方、レオナルドは独学。二人の素描の違いは、平行線を描きこんで陰影をつける描法に見られる。ミケランジェロは、線を交差させるクロス・ハッチングで、これには、彫刻家ミケランジェロの作品を立体的に見せる妙技が光っている点に注目したい。レオナルドは、対象を捉える際に影となる部分を表現するために、平行線のハッチングのみを駆使し、明るく見せる箇所には、鉛白のハイライトを利かせている。

素描以外にも、油彩画、手稿、書簡など約70点を展示紹介している。

(陶)

○会 期:9月24日(日)まで開催中
      月曜休館(ただし祝日は開館)
 ○開 館:10:00〜18:00
     (祝日を除く金曜、第2水曜、会期最終平日は20:00まで)
      *入館は閉館の30分前まで
 ○入館料:1,700円(学生割引あり)
 ○アクセス:JR「東京」駅(丸の内南口)徒歩5分
 問い合わせ:03-5777-8600(ハローダイヤル)

左から、レオナルド・ダ・ヴィンチ《少女の頭部》、ミケランジェロ・ブオナローティ「《レダと白鳥》の頭部のための習作」=記念写真用に置かれた展示パネル

2017年09月19日 配信

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