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トップページ > 経営倫理フォーラム > アーツ・ワールド > 2017年09月11日配信記事

     圧巻の「寄せ絵」アルチンボルド展
      ウィットに潜むハプスブルク宮廷の美
    国立西洋美術館に代表作《四季》《四大元素》8点集う

上野の国立西洋美術館で、きらびやかな「寄せ絵」で有名なアルチンボルドの展覧会が開かれている。
 ジュゼッペ・アルチンボルド(1526〜1593)はミラノ生まれで、16世紀後半にウィーンとプラハのハプスブルク家の宮廷画家として活躍、神聖ローマ皇帝の自然科学に深い関心を寄せたマクシミリアン2世と希代の芸術愛好家としても名高いルドルフ2世に寵愛(ちょうあい)された。

宮廷専属のアートディレクターとしても目覚ましい活躍ぶりで、結婚式シーズンの6月には、よい新種のユリがあるからスケッチしておくように、と言われながら結婚式の出席で忙しく、ユリが枯れてしまうなどのストレスとも闘う生活だったようですと、本展監修者でウィーン美術史美術館の元絵画部長のシルヴィア・フェリーノ=パグデン氏は語った。自然の美を写しとりつつも、柔らかさが感じられ、ユーモアとウィットに満ち、さらには、宮廷画家としての荘厳さも兼ね備えた画風。その基礎には、当時のミラノで学んだ自然主義的描法があると言われる。

有名なパズルのような「合成肖像画」は、大航海時代であった当時の最先端の博物学を取り入れており、彼が表現した多様性のハーモニーは、現代においてもなお新鮮に映る。普遍性があり、傑作だ。
 特に、《水》では、約60種類の魚類、海獣や水に関連する生き物が、大きさを無視して描きこまれ、小型化されたモンクアザラシも頭部を飾り、チャーミングな姿を披露している。

今回は、複数のバージョンの中から『四季』と『四大元素』全点が一堂に会し、対を楽しめる形で展示されている。各連作は互いに呼応している。《春》と《大気》は「にぎやかな陽気」、《夏》と《火》は「燃え盛る暑さ」、《秋》と《大地》は「豊饒(ほうじょう)の大地」、《冬》と《水》は「凍てつく森と海」が表現のテーマとなっている。非常に凝った出来栄えの作品で、この連作は神聖ローマ帝国皇帝マクシミリアン2世への新年の贈り物だった。皇帝を讃えるために、万物への支配と永続性などが重要なテーマとして盛り込まれ、同時に最先端の知識と洗練も兼ね備えている点でも豪華な作品。

「上下絵」という上下をひっくり返してみても絵画として鑑賞できる作品のだまし絵《庭師/野菜》は、庭師の肖像画が一転して器に盛られた野菜の静物画になる。この作品は、世界初の静物画を描いたとされているカラヴァッジョの《果物籠》(ミラノ、アンブロジアーナ絵画館)にも先行し、影響を与えた可能性があるとパグデン氏は語っている。

当時、フィレンツェやローマが芸術では隆盛だったので、ハプスブルク宮廷での活躍に対しイタリアでの評価はあまり高くなかったという。そのため、アルチンボルドは自らを鼓舞するために、帰国後も、宮廷と連絡を取り、貴族の位の下賜などを受け、皆を驚かせるような絵画を老齢にもかかわらず描く努力をしていたというエピソードも残している。そんな晩年の心情がしのばれる絵画が、会場の冒頭部分に展示された帰国後の晩年の自画像ともされる四つの季節を一枚の絵の中に凝縮した《四季》という作品。人生について考えさせ、なかなか感慨深い。

(陶)

○会 期:9月24日(日)まで開催中
      月曜休館。ただし、9月18日(月)は開館
 ○開 館:9:30〜17:30(金・土曜日は20時まで)
      *入館は閉館の30分前まで
 ○入館料:1,600円(学生割引あり、中学生以下無料)
 ○アクセス:JR上野駅下車(公園口)徒歩1分
 問い合わせ:03-5777-8600(ハローダイヤル)

アルチンボルド展《水》

2017年09月11日 配信

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