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都美術館で生誕300年記念「若冲展」開催中
  《釈迦三尊像》《動植綵絵》など代表作そろう

上野・東京都美術館で、生誕300年記念「若冲展」が開かれている。
明和4年版の京都の知名人を列記する「平安人物誌」で円山応挙に次いで第3位に、池大雅や与謝蕪村より前に列挙されている伊藤若冲(いとう・じゃくちゅう 1716〜1800)。今回は代表作を集めた展示だが、特に見どころとして話題となるのが、若冲自らが京都・相国寺に寄進した《釈迦三尊像》3幅と、《動植 綵絵(さいえ)》30幅の合計33幅が一組の作品として一堂に通期で展示されていること。

これらの作品の特色は、高価な顔料と染料が用いられ、練られた構図で仕上げられているが、絹に描くため、油絵とは違い、失敗できないという難しさがある。当初、24幅だったが、相国寺での虫干しの際に、その展示されている様子を見た若冲が、より完成度を高めようと増幅していったとみられている。

技術的には、初めに中国や朝鮮の古典画を徹底的に模写して学び、狩野派と当時の最先端の写生画法を取り入れ、独創的な絵画へと発展させていったという。不動産収入などのある、裕福な青物問屋に生まれただけに、当時の最先端であった外国から渡来したてのプルシアンブルーを入手、使用している点も見どころの一つ。裏彩色などの技法でも鳳凰の金の羽を黄土で表現するなど、非常に効果的な、しかも独自に考案したとみられる、さまざまな工夫が施されている。丁寧に鑑賞したい部分だ。

 前述の33幅という名品を描いた若冲だが、それは、信仰心のあつい仏教徒としての姿勢と信仰に裏打ちされたものであり、「自分の絵の価値を分かる人を千年も待つ」という言葉が残っている。仏教の「草木国土悉皆成仏」の世界観が凝縮されているとされる。描かれたものに脇役はなく、仏と衆生は平等という思想に基づき、すべてが主人公という主張が貫かれている。

 若冲は、同画面に美しいものと醜いものを並列的に表現した。当時としては、常識外の興味深い対象も大胆に描き、ユーモアと荘厳さを兼ね備えた作品もある。

(陶)

会期:5月24日まで 休室日:なし

入館料:1,600円(学生割引有り)

2016年05月14日 配信

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