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<第16回>
 公益企業に共通する官僚体質

 福島第1原子力発電所の事故で東京電力への批判が強まり、急ピッチで経営の見直しが進んでいる。地域独占による弊害の一つは、官僚体質に染まった東電の組織・風土だと以前にこのコラムで指摘した。東電の経営改革は、電気料金の引き上げなど国民の生活に密接に関係するだけに目が離せないが、地域独占による恩恵を享受しているのは東電および他の電力会社だけではない。ガス会社や電話会社なども同じような体質だとの不満の声をよく耳にする。とりわけNTTグループに対する苦情を検証してみると、東電との共通点の多さに驚かされる。

 NTT東日本の管区内に住むAさん。引っ越しに伴い、ケーブルテレビの契約を打ち切り、インターネットへのアクセス網を利用できる「光フレッツ」サービスを申し込んだところ、光ファイバーを利用した通信回線による音声通話サービス「ひかり電話」の契約も勧められた。すでに固定電話の移転手続きをすませていたAさんは、その旨をNTTの担当者に伝えると、利用料金は「ひかり電話」の方が安いというのみ。「それなら固定電話から乗り換えるので、社内で調整してほしい」と伝えたが、「担当が異なるので無理」と回答され、勧誘を断った。引っ越し後、固定電話の工事に訪れた業者は約束の時間に大幅に遅れたが謝罪一つなし。「光フレッツ」の敷設工事には別の業者が来たが、事前に連絡していた希望が伝わっておらず、結局、不十分な工事しかできなかったという。この間、NTTの相談ダイヤルに連絡してもタライ回しにされるだけでまともに対応してもらえず、お役所体質にあきれる一方だったようだ。

 この手の話は、NTTに限らず、どこの会社にでもあるとの見方もあろう。利用者に対しては「NTT」と名乗っていても、実際には電話を取り次ぐだけの権限しかない派遣社員や、敷設工事を請け負った業者らNTT本体とは関係のない「外部」の人間が起こしている問題が多いのかもしれないが、こうした業務委託のやり方も含めて、独占企業の弊害が出ているのは確かだ。利用者はNTTに大いなる不満があっても、固定電話(あるいは「ひかり電話」)の契約をせざるを得ない。そんな状況だとわかっているからこそ、NTTは利用者の要望に真摯に耳を傾けようとしないのだろう。

 東電の経営改革を他山の石とせず、地域独占企業は「普通のサービス会社」に変身してほしいのだが、「無理な注文」だろうか。

(希望の民)

2012年05月14日配信


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