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<第15回>
 第三者のチェックが必要なマンション管理

 AIJ投資顧問による年金の消失問題が話題になるなか、年金と同様に個人の生活で重要な位置を占める住宅を巡っても似たような問題が頻発している。その一例を紹介しよう。首都圏を地盤とするマンション分譲の山田建設(東京都大田区)が運営するマンション管理会社、エム・シー・サービス(同)は昨年12月、国土交通省から「指示処分」という行政処分を受けた。管理会社の社員がマンション管理組合から預かっていた資金を着服し、管理組合に損害を与えた。マンション修繕などのために積み立てている資金の一部が消えたわけだ。同社と契約しているマンションの住民によると、今年に入って、会社側から行政処分を受けたとの簡単なペーパーが各戸に配られたが、いまだに十分な説明がないという。同社は管理員業務を派遣会社に外部委託しており、「常勤している管理員に質問しても、らちが明かない」と、その住民はあきれた表情を見せる。

 国土交通省のホームページにはネガティブ情報というコーナーがある。マンション管理業者の項目を検索すると、処分を受けた業者の一覧が載っており、エムー・シー・サービスの名前も確かにある。だが、処分の理由をみると、「非処分者が管理業務を受託している複数の管理組合において、非処分者の元社員が管理組合の財産を着服し、当該管理組合に損害を与えたことは、マンション管理適正化法第81条第1号に該当する。」と記されているのみ。これでは、実際にどのマンションで着服が行われたのか、処分に至った経緯などが全くわからない。住民は不安を増すだけだ。

 マンション管理会社との契約は、マンションの自治組織である管理組合が決定権を持つ。管理会社に問題があれば契約を打ち切ればよいと国土交通省の関係者は言う。だが、マンションの施工主から紹介を受け、設立時から契約を続けている管理会社との関係を断つのは難しい。管理組合の代表である理事会のメンバーに判断力や情報がない場合も多いだろう。だからこそ、管理会社の規律がゆるみ、不正行為がまかり通るのだ。

 不祥事を起こした企業や団体をもっと厳しく監督できなかったのかという声が強まるのは当然だ。だが、監督官庁の側から見れば、無数にある企業や団体の実態をつぶさに把握するのは無理ではないか。そこで提案したいのが、第三者によるチェックの義務付けである。管理会社による清掃や点検などの受発注と実行、管理員の勤務態度、入出金管理などを専門家にチェックしてもらうことを、法律などで管理組合および管理会社に義務付けたらどうか。日本は残念ながら「性悪説」を前提にルールを決めるしかない国になったのかもしれない。

(希望の民)

2012年03月11日配信


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