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トップページ > 経営倫理情報 > AROUND経営倫理 > 2011年11月4日配信記事

<第13回>
 本拠地はどこですか?

 タイの大洪水が日本企業に打撃を与えている。キャノンは洪水の影響で2011年12月期の純利益が減益になると発表。タイヘの生産移管を進めていた自動車メーカーは減産を余儀なくされ、収益への悪影響は必至の情勢だ。右往左往する日本企業の姿を見るにつけ、御社の本拠地はどこですか?と問いかけたくなる。

 日本企業は今、「六重苦」に直面している、とされている。明確な定義はないが、割高な法人税、労働規制、温暖化ガスの削減目標、自由貿易協定の遅れに加え、昨今の円高や電力不足などが日本企業の競争力を弱め、「日本から出て行かざるを得ない」と主張する経営者は多い。自動車メーカーがタイにこぞって生産拠点を設けているのは、「六重苦」対策の一環だ。日本の自動車業界などは「円高や電力不足などが続けば国内の空洞化が一層、進みかねない」と政府に訴え、円高対策や法人減税などを求めている。だが、民主党政権は産業界の期待通りには動いていない。日本に見切りを付け、国外に脱出する企業が日増しに増えている。

 だが、タイの大洪水を目の当たりにすると、「日本がだめだから、別の国で」という発想には限界があると思わざるを得ない。地球環境が激変し、世界各地で政情不安も広がる中で、「ここだけは安全だ」と断定できる国や地域はない。「六重苦」の中でも、とりわけ日本の輸出メーカーを苦しめているのは「円高」である。なぜ、ドルやユーロが売られる一方で円が買われるのか。凋落が著しいアメリカや、ギリシャやイタリアなどの財政問題を抱えるEUよりも、日本は相対的に状態がよいと考える人が世界には多いから、世界の投機マネーが円に向かっているとは言えないか。

 にもかかわらず、短期的な視野のもとで日本企業が生産拠点を海外に移したり、国内の雇用を大幅に減らしたりすれば、日本の「比較優位」は揺らぎかねない。経済のグローバル化が進展する中で、海外市場を無視した戦略を立てることはできないにせよ、本拠地である日本国内でできることは、もうないのだろうか。日本企業は「円高」を嘆くばかりではなく、逆に「円高」をうまく活用できないのかなど、国内戦略を再考するときである。

(希望の民)

2011年11月04日配信


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