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トップページ > 経営倫理情報 > AROUND経営倫理 > 2011年4月10日配信記事

<第9回>
 東電の経営陣に望むこと

 東日本大震災が発端となった東京電力・福島第1原発の事故。放射能漏れなどへの対応が後手に回り、日本はもちろん世界の不安要因と指摘される事態に陥っている。事態が深刻さを増すにつれ、政治、行政、東電の総合的な対応力が問われているが、まず目に付いたのは東電の経営体質の問題である。

 東電は株式を上場している民間企業であるが、製造業など一般の民間企業とは大きく異なる点がある。電気という公共性が高い「商品」を扱う電力会社は、エネルギーの安定供給を目的に、「地域独占」という公益企業の経営形態を認められている。経済産業省の監視下にあり、事業展開に一定の制約を受ける半面、会社の存続が保障されている。

 原発事故や計画停電を巡る混乱は、こうした東電の経営体質が大きな原因になっている。一言で言えば「お役所体質」がまん延しているのだ。「親方日の丸」の経営体質のもとで赤字を垂れ流した旧国鉄、護送船団方式と呼ばれる過保護行政のもとで不良債権を膨らませた金融機関はいずれも経営が立ちゆかなくなった。国鉄はJRに衣替えして民間の発想を経営に導入。金融界では、バブル崩壊後に監督官庁との関係を見直し、「普通のサービス会社を目指す」(細谷英二・りそなホールディングス会長)と宣言する金融機関も増えている。

 電力会社はこうした荒波にもまれることなく、安逸をむさぼってきたのではあるまいか。東電は老朽化が進んでいた福島第1原発をなぜ、使用し続けたのか。真相は定かではないが、経営陣の間に「危機意識」が希薄だったのは確かだろう。福島第1原発は今や「オールジャパン」の問題となり、東電の「国有化」も話題になっている。緊急事態への対応という意味では致し方がない議論だが、東電は現時点であくまで民間企業である。迅速な情報開示、徹底的な事故対策、被害者への最大限の補償、経済効率に配慮したきめ細かい電力供給……。この局面で経営陣が果たすべき責任はやまほどあることを忘れてはならない。

(希望の民)

2011年04月10日配信


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