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<第7回>
 ネットが暴く「非公開」

 内部告発の情報を専門に流すインターネットのサイト「ウィキリークス」が米国の外交文書約25万件の暴露を始め、世界中に大きな波紋を広げている。情報を漏洩した犯人や、ウィキリークスの責任を問う声が強いが、米国政府が「非公開」としてきた情報を広く公開した行為には功罪両面があり、一方的に非難はできない。

 もちろん、どの国にも「機密情報」はあるだろう。例えば、国家の安全保障にかかわる情報が漏洩したら、国民にとって大きな脅威、不利益となる。しかし、政府が「非公開」としている情報のうち、どれが本当に機密情報なのか、線引きをするのは難しい。国民の目線で見れば、公開しても差し障りがないどころか、公開した方が国民の利益になるのにあえて政府が非公開にしている情報は多いのではないか。日本の例で言えば、尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件のビデオ映像を公開すべきかどうか、政府・与党が決めあぐねているうちにネット上に映像が流出した。政府・与党は「外交上の配慮」を盾に情報公開を阻んできたが、映像の流出後に日中関係に大きな変化は見られなかった。本来なら政府が堂々と公開し、国民の判断を仰ぐ案件であろう。

 以上は「政府」の話だが、主語を「企業」に置き換えても同じことが言える。企業は様々な「機密情報」を「非公開」にしている。だが、迅速に公開した方が、消費者や株主にとってはもちろん、その企業自身にとってもプラスになる情報があるはずだ。その典型例が製品の不具合に関する情報だ。自社製品の一部に不具合があることが発覚すると、影響の広がりを恐れてしばらく様子を見る企業は多い。一瞬のためらいが初動の遅れにつながり、被害者が増えるなど傷口を広げてしまうのだ。

 企業は「非公開」「社外秘」とした情報を本当に外部に公開する必要がないかどうか、様々な視点から個別案件ごとに吟味してほしい。「経営者の自己保身」を優先するための判断だったりすると、内部告発者はネットを通じて「機密情報」をやすやすと暴露するだろう。

(希望の民)

2010年12月08日配信


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