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トップページ > 経営倫理情報 > AROUND経営倫理 > 2010年10月14日配信記事

<第6回>
 「有料」コンクールに異議あり

 音楽、演劇、文学作品といった文化・芸術からビジネスに関連するアイデアまで、様々な領域でのコンクールが花盛りだ。人口が多い団塊世代が定年を迎えるなど時間に余裕がある人が増えている影響もあって、各種コンクールに応募する人数は総じて増加傾向にある。コンクールを通じて隠れた才能を発掘できれば主催者、応募者の双方にとって利点が大きいが、ちょっと気になることがある。応募者から「審査料」としてお金を取るコンクールが最近、目立つのだ。

 ある雑誌が主催する「文学賞」は今年から審査料を徴収し始めた。応募者は作品と一緒に審査料を送らないと最初から審査の対象からはずれてしまう。そもそも審査料とは何だろうか。確かに何百という単位で送られてくる作品を読み、優秀作品を選び出す作業には手間がかかり、審査員が多大な労力を割くのは間違いない。しかし、だからといってその対価を応募者に求めるのは筋が通らない。審査員が対価を要求するなら、主催者が負担するのが当然である。各種コンクールの主催者は企業や団体、個人など様々だが、審査にかかるコストを負担できないというなら、そもそも賞を運営する資格はない。

 上述した文学賞が応募者に求めるのは審査料だけではない。最終審査の前までに1次から3次までの予備審査があり、予備審査に通った人は、追加料金を払えば雑誌やホームページに作品を掲載してもらえたり、さらに追加料金を払えば審査員から講評を送ってもらえたりするなど、あの手この手で追加料金を払わせようとする。これでは文学賞の名を借りたコンクールビジネスだと言われても反論はできまい。そもそも、審査員がお金を払った人にだけ講評を送るのは審査の公平性の面からみても大いに問題がある。

 お金に余裕がある人が納得したうえで審査料を払い込むのなら問題はないとの見方もあるだろう。それでは、お金に余裕がない人はコンクールに応募する資格がないのだろうか。誰にでも門戸を開き、公平な視点で優秀な人や作品を選ぶのが、コンクールの本来の趣旨であろう。地域振興や人材の育成など社会貢献を目的として掲げているコンクールは多い。主催者側はコンクールの原点を思い起こしてほしい。

(希望の民)

2010年10月14日配信


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