本文へスキップ

企業・組織の経営倫理を推進する人材を育成・支援するNPO法人

トップページ > 経営倫理情報 > AROUND経営倫理 > 2010年2月2日配信記事

<第2回>
 規制強化の行き着く先は?

 「今回の危機はグローバルな危機ではなく、グローバル化の危機なのだ」。フランスのサルコジ大統領は1月末にスイス・ダボスで開かれた世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で持論をまくしたてた。今年で40周年を迎えたダボス会議はもともとアメリカ式の経営を学ぶためにスタートした会議。規制緩和や自由化を礼賛するムードが一貫して濃かったが、流れは急に変わった。

 これに先立つ1月下旬、アメリカのオバマ大統領は金融機関によるファンド投資を禁止するとともに金融機関の規模を制限するなどの金融規制案を発表した。08年秋にアメリカの金融機関を震源地とする金融・経済危機が世界全体に広がると、アメリカの金融界は「戦犯」と名指しされた。アメリカが先頭に立って推進してきた自由化路線は「強欲資本主義」とも呼ばれ、厳しく断罪された。

 ところが、巨額の公的資金の恩恵を受けて業績が回復したとたんに、巨額のボーナスを復活させるなど相変わらずの強欲ぶりが目立った金融界。支持率の低下に悩むオバマ大統領は金融界(ウォールストリート)に厳しくあたり、一般国民(メーンストリート)の人気回復を狙っている。オバマ大統領に何度も注意を喚起されながら、行動を改めなかった金融界は自ら墓穴を掘ったと言えるかもしれない。

 自由化の「御本尊」でもあったアメリカの路線転換は世界全体に波及しつつある。民主党が政権を担う日本でも、金融機関に融資条件の緩和を促す「モラトリアム法案」が施行されるなど、小泉純一郎元首相のもとで「構造改革」に取り組んでいた当時とは環境が様変わりしている。行き過ぎた自由化に一定の歯止めをかけることは確かに必要だ。しかし、このまま規制強化に拍車がかかると、グローバル資本主義はやがてグローバル社会主義、そしてグローバル全体主義に転じないだろうか。「○○禁止」という看板がやたらと並ぶ国に活力があるとは思えない。そうなりたくなければ、企業や個人がとるべき行動はおのずと決まってくるはずだ。

(希望の民)

2010年02月02日配信


前の記事へ 記事一覧へ戻る 次の記事へ